街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
「こんにちは」と「ありがとう」を手話で伝えてみよう!
ヨミドクターをご覧のみなさま。サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。以前のコラムで、聴覚に障害のある方とのコミュニケーション方法についてお伝えしました。今回は、特に、ろう者のコミュニケーション方法である「手話」についてお伝えします。
体全体で表現する言語
「ろう者」とは、両耳がそれぞれ100dB以上(100dB以上の音がかすかに聴こえる)の聴覚障害のある人のことで、身体障害者の等級では2級となります。ただし、こうした医学的な区分とは別に、音声言語獲得前に失聴し、手話を母語とする人を「ろう者」と呼ぶのが一般的です。その他、聴覚に障害のある人には、両耳の聴力レベルが100dBより軽く、日本語など音声言語の習得後に失聴している人が多い「難聴者」や、健聴者(聞こえる人)だったが、人生の途中で病気や事故により聴力を失った「中途失聴者」がいます。
手話とは、主にろう者がコミュニケーションをとる際の手段で、指の動きや表情などを使って視覚的に表現する言語です。同じ指の動きでも、スピードや強弱などで意味が異なることもあります。つまり体全体で表現する言葉なのです。
「日本手話」と「日本語対応手話」がある
手話には、「日本手話」と「日本語対応手話」があります。
日本手話とは、日本のろう者が母語として獲得している言語であり、現在、多くのろう者が使用しています。日本語の文法と異なる場合があり、助詞や助動詞を表さないことが多くあります。
これに対して日本語対応手話は、主に中途失聴者や難聴者など日本語を母語とする人が用い、手話の表現は、日本語を話す順に並べられます。助詞や助動詞も指文字や手話、口形で表現します。
このように、日本手話と日本語対応手話は、基本的に語順や言語の構造が違うため、手話を学んだ健聴者でも、ろう者同士の会話を理解するのが難しいこともあります。ただ、手話を使うことで聴覚障害への理解が深まり、聴覚に障害がある人とコミュニケーションを取るきっかけにもなります。あいさつだけでも手話を使えば、「コミュニケーションを取りたい」という意思は伝わります。
手話を学ぶきっかけとして、以下に二つの手話をご紹介します。右利きか左利きか、自分が動かしやすいほうで表現します。
「こんにちは」の手話
<1>立てた人差し指と中指を額にあてて、時計の文字盤の12時の位置を表す。
<2>向かい合わせて立てた両手の人差し指を折り、あいさつの表現をする。
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