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Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」

医療・健康・介護のコラム

「温泉行けた」「外出増えた」 乾癬患者の苦悩を吹き飛ばした生物学的製剤

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2010年に生物学的製剤登場 皮膚科医も驚くほどの効果

Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」

 この患者さんも、外来にいらっしゃる時はいつも、長袖に長めのスカートでした。そんな方が、喜色満面で診察室に入ってきたものですから、私の方が驚いてしまったというわけです。彼女の表情をここまで変えさせたのは、何だったのでしょう?

 それは新規の治療法の登場です。2010年に生物学的製剤という注射の治療が登場し、今まで何をやっても良くならなかった乾癬の発疹を劇的に改善させました。患者さんよりも、我々皮膚科医の方が、そのあまりの治療効果に目を丸くしたと言ってもいい。それほどの衝撃でした。

 「とにかく発疹が良くなったので、今まで人目が気になって行けなかった温泉に行くことができた」「家の中にいることが多かったのに、自然と外出の機会が増えた」、女性であれば「念願のエステに行けるようになった」など、それまでの患者さんの生活そのものを根本から変えてしまった感があります。

それまでの悩みの深さゆえの「とびきりの笑顔」

 今回の患者さんも、友人と温泉に行っても、以前は人目を気にして自分だけ部屋のお風呂に入っていたということでしたし、話を聞いていて、私自身も涙ぐんでしまったのは、ご自分のお子さんの友人が家に遊びに来ても会わせてもらえなかったという話でした。発疹が良くなってからは、そのようなことはなくなったのでとてもうれしいと目に涙をためておっしゃっていました。

 「良くなったところを見てほしくて来ました」といって受診された患者さんは、実はこの女性だけではありません。しかし、どの患者さんにも共通していたのは「とびきりの笑顔」でした。おそらく治療のおかげで「発疹とともに、誰にも言えなかった心の中の深い深い悩みも吹き飛ばしてくれたのかも」と思いました。「とびきりの笑顔」を見せてくれたということは、逆に「それほどまでに深く悩んでいたのか……」ということの裏返しでもあります。

 そういう意味では、乾癬は皮膚の疾患であり、心の疾患なのかもしれません。「皮膚は心の鏡」……そんな言葉を思い出しました。

 今回は、このコラムのタイトル通りの内容だったかもしれませんね(笑)。(遠藤幸紀 皮膚科医)

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遠藤 幸紀(えんどう・こうき)
皮膚科医。東京慈恵会医科大学皮膚科講師。乾癬かんせんという皮膚疾患の治療を専門とし、全国の乾癬患者会のサポートを積極的に行っている。雑学やクイズに興味があり、テレビ朝日「Qさま!!」の出場歴も。

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