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医療・健康・介護のコラム

[女優 松原智恵子さん](上)人ごとと思えぬ「認知症」 重い話をユーモア交え温かく

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認知症の症状 シーンごとに話し合い

松原智恵子さん

 ――本作では、認知症になった昇平を演じた山崎努さんの演技にも圧倒されました。まだ症状が軽い最初の頃は、記憶を失っていく自覚がある様子で、その不安や悲しみが見る側に迫ってきます。だんだんと病気が進んでいく様子は切なくもあるのですが、それによって彼が歩んできた人生の重みが失われるのではなく、むしろ強く意識させられます。

 それぞれの場面でどれくらい症状が進んでいるのか、ということについては、山崎さんと監督がよく話し合って調整していたようです。映画の撮影は、台本の頭から順番通りに行うわけではなく、今回も場面が前後することがありました。気持ちの切り替えが大変だったと思うのですが、山崎さんはしっかりと計算して演じていらっしゃいましたね。

話しかけていくことが大切

 ――私は、認知症の人や家族、医療・介護の関係者に取材する機会も多いのですが、一見、ちぐはぐな言動にも実はちゃんと意味があったり、本人の心の中には大切な思い出や感情が残されていることをのぞかせたりと、認知症の人がふと見せる一面をよく描いていると思いました。

 曜子が話しかけると、昇平が子供のように「はいっ」と答える場面があります。話の内容は理解していないのかもしれないけれど、返事をしたということは、相手が自分に向かって話しているということは分かっているんです。たったこれだけのやりとりでも、心は通じ合っていると感じられました。きっと曜子も、元気な返事を聞いてうれしかったに違いありません。

 認知症に限らず、家族が病気になって会話が難しくなることもあるでしょう。意味のあるやりとりができなかったり、場合によっては返事もないかもしれないけれど、それでも話しかけていくことが大切だと感じました。

松原智恵子さん

 まつばら・ちえこ
 1945年生まれ。名古屋市出身。明治大学中退。高校1年の時に日活のコンテストに入賞し、翌61年に映画「夜の挑戦者」でデビュー。映画やドラマでヒロイン役を数多く演じて人気を集め、吉永小百合さん、和泉雅子さんとともに「日活3人娘」と呼ばれた。2016年、映画「ゆずの葉ゆれて」で、ソチ国際映画祭の主演女優賞に選ばれた。17年、毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞。19年4月から、テレビドラマ「やすらぎの刻~道」(テレビ朝日系)に出演。

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