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高齢者の肥満…心臓病やうつのリスク

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高齢者の肥満…心臓病やうつのリスク

 年をとると体の代謝が下がり、同じ運動をしても若い人より、消費カロリーが少なくなる。外出の意欲や機会が減るなど、日常の活動量も低下しがちで、太りやすくなる。高齢者の肥満は、脳や心臓、うつなどの病気のリスクを高めるため、注意が必要だ。(山田聡)

  転倒、骨折の危険も

 40歳を過ぎる頃から、おなかのぜい肉が気になり出す人は多い。厚生労働省の調査によると、BMI(体格指数)では肥満に該当しないものの、腹囲がメタボリックシンドロームの基準値(男性85センチ、女性90センチ)以上の割合は、年齢とともに増える傾向にある。

 BMIは、体重(キロ・グラム)を身長(メートル)で2回割った数値。例えば身長1メートル70、体重85キロ・グラムの場合、BMIは29・4となる。健康診断の結果などに記載されており、日本肥満学会は、日本人について、25以上を肥満と定めている。

 しかし、高齢になるにつれて身長が縮み、筋肉が減って脂肪が増えやすい。病気で体がむくむケースもあり、BMIだけでは肥満と判定できないこともある。正確な診断には、内臓脂肪量の目安となる腹囲なども参考にする必要がある。

 肥満は、脳 梗塞こうそく や心筋梗塞、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因になる。加齢に伴って筋力や骨密度が低下し、軟骨が変形するなどの異常をきたしやすくなる。肥満による体重の増加は、膝や腰を痛める原因になるほか、転倒・骨折につながる恐れもある。

 さらに、着替えや入浴、料理、掃除、洗濯、買い物などの日常生活動作(ADL)の質も下げかねない。

 筋肉量が著しく減った状態のサルコペニアが肥満に加わると、転倒・骨折やADLの低下を招くリスクは一段と高まる。心身虚弱の状態で要介護の一歩手前のフレイルにもなりやすい。

 また、東京大高齢社会総合研究機構などの研究によると、サルコペニアで肥満の高齢男性は、うつ状態になるリスクが2・7倍。精神的にも悪影響を及ぼすことが分かってきた。

  中年から対策を

 日本老年医学会は昨年、高齢者の肥満症診療に関する指針を作成した。とりまとめた東京都健康長寿医療センター副院長の荒木厚さんは「高齢者の肥満は複数の病気のリスクを高める。特に内臓脂肪には注意が必要だ」と指摘する。

 肥満は生活習慣と深く関わり、短期間での改善は難しい。特に高齢では、急激なダイエットや運動は体への負担が大きく、健康を損なう危険性が高まる。医師らに相談して行うことが望ましい。できれば肥満が気になり出す、中年(40~64歳)から始めたい。

 食事はカロリー制限に加え、栄養バランスを重視。筋肉のもとになるたんぱく質は、フレイルの予防に効果がある。内臓脂肪を落とそうと、食事の量を漫然と減らすのは、必要な栄養素も不足しかねず逆効果だ。

 筋力が落ちると、心肺機能の低下や死亡のリスクも高まる。生活の中に適度な運動を取り入れたい。太ももやお尻の筋肉を鍛えるスクワットが、歩く力を維持するのに効果的だ。正しいやり方を身につけ、痛みが出たら無理をしない。

 荒木さんは「事務作業などをしている人は、いすに座っている時間を短くするだけでも良いので、試してほしい」と話している。

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