教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
激しい映像 酔わない方法は?
距離保ち 空腹時避けて
Q 映画を見ていて気分が悪くなったよ。画面が上下に激しく揺れる場面があったんだ。病気かな?
ヨミドック それは映像酔いですね。医学的には、乗り物酔いと同じ動揺病に分類されます。症状は一時的で、だるさやあくび、吐き気、めまい、冷や汗などが出ても、自然に治まります。
Q なぜ起こるの?
ヨ 詳しいメカニズムはわかっていません。激しく揺れ動く画像を見ると、自分も動いているような感覚になります。脳がこの感覚を、経験のない刺激(情報)と受け止めれば、どう対応すればよいかわからなくなり、不快な症状を招くと考えられています。
Q でも、一緒に見た友だちは楽しんでたよ。
ヨ 動きに対する脳の対応能力には個人差があります。体質のほか、映像に慣れていないこともあるでしょう。以前、ある中学校の授業で、手ぶれの激しい映像を見た生徒たちが体調不良で搬送されたことがありました。その後、ビデオゲーム好きの生徒は、不調が起きにくかったことがわかりました。
Q 酔いやすい映像は?
ヨ これまでの研究では、〈1〉視点が定まりにくい〈2〉前後(手前と奥)左右、上下と様々な方向に揺れる〈3〉動きが速い〈4〉次に動く方向が予測できない――などの特徴があります。映像との距離が近すぎる場合も酔うことがあります。映像の解像度が影響するかは明らかになっていません。
Q 自分でできる対策は?
ヨ 睡眠不足や空腹・満腹時、体調が悪い時は、激しい映像を見るのは控えましょう。見ている途中で気分が悪くなったら、すぐ目を閉じて、刺激を遮断しましょう。
Q 映像との距離は?
ヨ 解像度が2K(ハイビジョン)なら画面の縦の長さの3倍の距離が適切とされます。人間工学の研究者がメーカーと、酔いにくい映像を作るための国際的な指針作りを進めています。各シーンの動きの量を数値にし、酔いやすさとの関連が分かるようにする方法などを来年にはまとめるそうです。
(中島久美子/取材協力=吉田 友英 ・東邦大佐倉病院副院長、 氏家 弘裕・産業技術総合研究所上級主任研究員、渡辺洋・同研究所主任研究員)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
【関連記事】