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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語

コラム

私は「産める体」になったの?…手術から1年 検査の結果は

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 「パートナーの腎臓がお (なか) の中にあるって、どんな感じ?」

 そんな素朴な質問をされることがある。私はマタニティーの感覚に近いと思っている。夫の一部が、お腹の中で生きている。「ありがとう」と言ってお腹をなでるのが、日々の習慣になった。

 現在、移植腎のサイズは、縦12.4センチ、横6.1センチ。大粒のアボカドくらいの大きさだろうか。驚くことに、移植当時から少し大きくなったそうだ。一つの腎臓で二つ分働いているため、“成長”したのだろうか? こうした移植腎の頑張りで、5月に測定した血清クレアチニンの数値は0.78mg/dlで、正常値を維持できている。そして現在、私と夫は、妊娠・出産を目指している。

赤ちゃんを望める「五つの条件」とは

左から私、息子の母子手帳。昭和から平成、そして令和へ

左から私、息子の母子手帳。昭和から平成、そして令和へ

 レシピエント(腎臓をもらう側)の私が、夫婦間腎移植を決断できた最大の理由は、「移植後、妊娠・出産が可能になる」ことだった。移植当時の年齢は、38歳と1か月。健康な女性でも「リミット」を意識する年齢だ。私も後悔のないよう、ベストを尽くしたいと思っている。

 日本移植学会などによると、2017年の腎移植レシピエントの平均年齢は、生体腎が47.1歳、献腎が50.2歳。レシピエントの中には、30代半ばから40代前半にかけての高齢出産に臨む人も多く、医師に相談した上で計画的に妊娠・出産に向かう必要がある。満たすべき条件は次の通り。

  1. 移植後1年以上経過し、生検で拒絶反応がないこと
  2. 移植腎の働きが十分よいこと(血清クレアチニン1.5mg/dl以下が望ましい)
  3. 血圧が正常であること
  4. たんぱく尿がないこと
  5. 免疫抑制剤や降圧剤を適正な薬剤に変更可能であること(胎児への考慮)

 現在のところ、私が満たしているのは、条件1から4まで。移植1年が経過した3月末に腎生検を受け、拒絶反応がないと証明できているし、血清クレアチニン、血圧は正常値。たんぱく尿も認められていない。次のステップとして、条件5を満たすべく、内服する免疫抑制剤、降圧剤、肺炎予防薬などの薬を、4月末から、妊婦でも服用可能な薬に変更。以後3か月間、腎機能、血圧、たんぱく尿の有無を確認し、正常値を維持できれば晴れて妊活スタートとなる。

夫は「子がいても、いなくても…」

 私の張り切りぶりとは対照的に、夫は慎重に経過を見守ってくれている。

 「子どもがいたらきっと楽しいだろうね。でも、僕らの最終目標は、老後も元気に過ごすこと。トライした結果、妊娠・出産が難しくても、僕らなりの人生を歩めばいいんだからね」

 夫がそう言うように、子がいない人生でも楽しめるよう、人生設計してきたつもりだ。書く仕事を選んだのも、フリーランスという働き方を選んだのも、生涯現役でいるためだった。

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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1件 のコメント

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私の子どもも慢性腎炎です

たらこ

はじめまして 42歳縫製業です 10歳の娘も慢性腎炎です 先日東京女子医大で腎生検をしてc3腎症とわかりました 3年前から腎炎でしたのでようやく...

はじめまして
42歳縫製業です
10歳の娘も慢性腎炎です
先日東京女子医大で腎生検をしてc3腎症とわかりました
3年前から腎炎でしたのでようやく治療のスタートラインに立てた安堵とこれから娘はどうなるのか不安もあります
いつでも自分の腎臓を渡す覚悟はありますが
娘がどのような人生を歩めるのか不安があります
出産や結婚などしなくても…幸せならと思います、多くを望まないと直接言うつもりはありませんがどうか幸せでありますように
それだけです、親は

どうかご自愛ください
移植されても元気な姿なのが励みになります

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