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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

妊娠・育児・性の悩み

連休はどこも子ども連れだらけ 落ち込んでしまった妊活中のあなたへ

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 10連休が終わって10日ほどたち、そろそろ日常が戻ってきました。時代は平成から令和へ、天皇の退位は202年ぶりとのことで、日本中がおめでたいムードに包まれた連休だったように思います。前半はお天気が今ひとつでしたが、後半の天候に恵まれた何日かは、私も近場に出かけ、春の休日をのんびりと過ごしました。

「子どもが好きだけど、今は見たくない」

連休はどこも子ども連れだらけ 落ち込んでしまった妊活中のあなたへ

 けれど、そんな日本中がお休みムードの時だからこそ、落ち込んでしまう人たちもいます。そうした妊活中の方から連休中、ご相談やメールなどをいくつかいただきました。

 「外に出ると子ども(特に赤ちゃん)連れが普段より多く、見るたびに落ち込む」「子どもが好きだったのに、(治療中の)今は見たくない気持ちでいっぱいで、引きこもってしまう」「連休中は病院通い。行き帰りの電車の中は幸せそうな家族連れだらけで、通院がよけいしんどくなります」などなど。そして、「そんなことを考えてしまう自分が、心が狭い気がして、本当にいやになります」と。

 「ああ、やっぱり……」と思いました。テレビをつければ子連れのお出かけ情報や、幼い子どもたちのかわいらしい姿。「令和ベビー」の文字、生まれたての赤ちゃんの映像、産声。もちろんそれらは幸せなこと、めでたいこと、喜ばしいこと、と頭では十分理解できているものの、妊活中の立場からすると、やはりつらいものなのです。

治療中の人には連休はむしろしんどい?

 私も不妊治療の真っ最中のころには、どんなに願って努力しても、なかなか授からない赤ちゃんを見るのがつらいことは多々ありました。この連休には、そういうシーンを目の当たりにすることが多かったので、「きっと治療中の人にとっては、この連休は楽しいうれしいことばかりではないだろうな、うーん、いや、むしろしんどいことが多いかも……」と考えていたところだったのです。

 「実家に帰ったら、従妹いとこの赤ちゃんに会って……」と話をしてくれたYさんは39歳。不妊治療に専念するため、仕事を3月で辞めたそうです。「40歳を過ぎると助成金がもらえる回数が少なくなると聞いたので、その前に体外受精にステップアップしたいと思って、夫婦で話し合って決めたんです」とのこと。

 前回の記事でも不妊治療の費用のことを書きましたが、不妊治療はそのほとんどが自費診療であり、高額なため、体外受精などの高度な治療には、厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として、不妊治療費の一部が助成されます(年収、年齢、回数、治療内容等の制限や条件あり)

 Yさんがこれからチャレンジしようとしている体外受精は、40歳未満で始めた場合は助成金が上限15万円まで、回数は6回まで支給されますが、40歳を過ぎて始めた場合はその半分の3回になってしまいます。Yさんは悩んだ末、仕事を辞めて治療に専念するという選択をしたのでした。Yさんは医療職で、昼夜を問わずシフトが入ってしまう勤務形態。職場の人数はギリギリで急には休みも取れません。「明日また病院に来てください」と言われる可能性もある不妊治療を始めるにあたり、今の仕事では、周囲への迷惑を考えると、とても続けられないと思ったそうです。

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松本 亜樹子(まつもと・あきこ)
NPO法人Fineファウンダー・理事/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

野曽原 誉枝(のそはら・やすえ)
NPO法人Fine理事長

 福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年の不妊治療を経て男児を出産。2013年からNPO法人Fineに参画。14年9月に同法人理事、22年9月に理事長に就任。自らの不妊治療と仕事の両立の実体験をもとに、企業の従業員向け講演や、自治体向けの啓発活動、プレコンセプションケア推進に力を入れている。自身は、法人の事業に従事しながら、産後ドゥーラとして産後ケア活動をしている。

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