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がん患者団体のリレー活動報告

コラム

公益社団法人 日本オストミー協会

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 大腸がんなどの手術を受けて、腹部に便や尿の排せつ口となるストーマ(人工肛門、人工ぼうこう)を着けている人(オストメイト)は全国に約20万人いるとも言われています。日本オストミー協会の調査結果では、おおむね男性が6割、女性が4割でした。それは、前立腺がんの手術を受けた男性がオストメイトになるケースが多いからかと思われます。また、大腸がん手術でストーマをつける高齢者が増えていることもあり、オストメイトの8~9割が60歳以上となっています。

公益社団法人 日本オストミー協会

高齢化でストーマ管理に不安も

 協会の調査では、オストメイトが生活上抱える悩みで最も多いのは「ストーマの管理ができなくなった場合の不安」で、2番目が「老齢化で寝たきりや半身不随になること」でした。これは、社会の高齢化とともに、オストメイトも高齢化しているからでしょう。

 3番目に多かったのが「災害時のストーマ装具の補給」でした。最近、地震や台風の被害が相次いでいるので、不安に思う人が増えていることも予想されます。この他の悩みでは、装具を直接腹部に貼りつけるために「かゆみ、ただれなどの皮膚障害」も多く、「排せつ物のもれ」も依然として上位にあります。

結婚、出産、就業…若者の悩みも深刻

 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)を原因として、若くからオストメイトになる方もいます。現役世代である60歳未満のオストメイトにとって、その生活の基盤となる就学や就業は大きな問題です。ストーマに対する正しい理解が社会で進んでいないため、周囲から非難や中傷を受けたり、退職を余儀なくされたりするケースもあるようです。

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「20/40フォーカスグループ」のイメージキャラクター

 また、結婚や出産も課題を抱えています。身体の障害のため、引っ込み思案になってしまい、異性と交際できない、結婚に踏み切れないというケースがあるほか、既婚者であっても病気のため、特に男性で性機能障害となり、子どもに恵まれないこともあります。

 いずれにせよ、60歳未満のオストメイトが全体の1~2割、40歳未満にいたっては約1%しかいないわけですので、このような悩みを相談し、共有できる仲間も少ないのが実態です。そこで協会では、20歳から40歳までのオストメイトが主に参加する「 20(にいまる)40(よんまる) フォーカスグループ」という部会を組織しました。全国58支部の垣根を越えて若いオストメイトを支援しています。

ブログやSNSを通じて情報を発信

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悩みを相談し合う「若いオストメイト交流会」

 20/40部会では、さまざまな情報をブログ・SNSを通じて発信しています。支部単位で開催する「若いオストメイト交流会」は、有益な情報の交換だけでなく、困っている方の悩みや不安の相談を受けたりもしています。近隣に住む部会員が協力し合い、新たに若いオストメイト交流会を開催する支部も増えています。

 交流会に初めて参加された方が「来てよかった!」と言って帰られると、私たちもその場に立ち会えて良かったとうれしくなります。そんな時に患者会、交流会の重要性や必要性を改めて感じるとともに、この先も続けなければならない、少しでも役に立てるように取り組みたいと、思いを新たにするのです。

 目が見えず音も聞こえない米国の教育活動家、ヘレン・ケラーの「障害は不便である。しかし、不幸ではない」という有名な言葉があります。不便さは拭い去ることはできませんが、個人の幸福はその人の心の持ちようで大きく変わるはずです。私たちは、オストメイトが生きる喜びを感じ、下を向いて歩かなくてよい社会をつくりたいと考えています。

公益社団法人 日本オストミー協会

 1969年7月に設立されたオストメイト団体「互療会」を前身とし、1989年社団法人の認可を機に「日本オストミー協会」と改称。2011年には公益社団法人の認定を受け、現在に至る。全国に58支部を置き、会員数は約7500人。
 オストメイトらとその家族のQOL(生活の質)向上に寄与することを目的として、講演会・講習会の開催、セルフケアの相談や助言、会報・印刷物の発行、社会適応訓練事業の受託などを行っている。
日本オストミー協会
 ホームページ  http://www.joa-net.org/
20/40フォーカスグループ
 ホームページ  http://2040focus.jp/
 ブログ     http://2040focus.blog10.fc2.com/
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 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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