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胆のう腫大 手術すべきか

 10年ほど前から、胆石があると指摘されています。半年ほど前の人間ドックでは、胆のう腫大が指摘され、摘出することも考えた方がよいとアドバイスされました。現在、自覚症状はなく、胆のうの壁が厚くなる異常もないので、摘出する必要はないと言う医師もいます。ただ、胆のう腫大が短径65mmというのが気になります。どう判断すべきか、ご意見いただければと考えています。(51歳男性)

胆のうが収縮していれば問題ない

跡見 裕・杏林大学名誉学長(東京都)

 胆のうはナス型をした小さな臓器です。長径と短径で大きさを測りますが、長径で8cm、短径で4cmを超えると「胆のう腫大がある」といいます。この方は短径で6.5cmですから、胆のう腫大という定義に当てはまります。

 胆のうは、肝臓で作られた胆汁をためて濃縮する役割をしています。食事の際に出るホルモンの刺激で胆のうは収縮し、濃厚な胆汁が胆管を通じて十二指腸に排出され、食物の消化吸収を助けます。従って、胆のうの大きさとともに、収縮するかどうかも重要です。食後の超音波検査で、胆のうが収縮しているかどうか調べることができます。

 胆のう腫大の原因としては、胆汁の流れが悪くなり、胆汁がたまった状態が考えられます。総胆管から十二指腸の出口までに胆汁の流れを阻害するものがあれば、胆のう腫大が起こりますが、この場合は、胆管も拡張します。胆のうの出口や胆のう管が詰まると、胆のう腫大がおきます。

 胆のう腫大をきたす疾患で一番多いのは急性胆のう炎です。急性胆のう炎は、胆石により胆のうから胆汁が流れにくい状態があり、そこに細菌感染が生じると起こります。通常は腹痛、発熱などの症状があり、超音波検査でも胆のう壁の異常や胆石などがわかるので、比較的、診断しやすいです。

 胆のう管や胆のうの出口に腫瘍(良性、悪性)ができた場合も、胆汁の排出が阻害され、胆のう腫大が起きる可能性があります。このような場合、胆のうは収縮しません。胆のう水腫という病態もこれに含まれます。これは胆のう管に胆石が詰まるなどして胆汁は排出されず腫大しますが、胆汁の成分は吸収され、胆のうの中の液が透明に近くなる状態です。

 この方は10年前から胆石が指摘されていますので、胆石と関連した病態をまず考えます。前述の胆のうの収縮を調べ、胆のうが収縮していれば、まず問題はありません。胆石だけで症状がなく、胆のうの壁に異常がなければ、必ずしも胆のう摘出術をする必要はありません。ただ、胆石があれば胆のうがんの発生(それほど頻度は高くはない)もあるので、定期的な検査は必要です。胆のうが収縮しなければ、胆のう水腫なども考慮する必要があり、胆のうを摘出するのが良いと思います。(日本専門医機構協力)

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