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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

親の介護は「同居」か「施設」?…私が選んだ第3の道

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漫画・日野あかね

漫画・日野あかね

結婚を機に別居を決断

 8年前の結婚を機に、私は実家を出ました。そして現在、実家からは俗にいう「スープの冷めない距離」に住んでいます。

 そういった状況に、「近くに住んでいるならば、なぜ、ご両親が大変なのに同居しないのですか?」と問われることが少なくありません。夫のヒロさんでさえも、結婚を前提にお付き合いするようになってからは、私の両親との同居を考えてくれていたようです。

 認知症で要介護の父さんと、子宮がんを患い、決して元気とは言い難い母さんがいるのだから、「同居するべき」と思うのが普通かもしれません。ですが、私はあえてそうしていません。

心の許容量 小ささを自覚して…

 心のキャパシティー(許容量)の小さい私は、ずっと家族だけでいると思考や視野が狭くなってしまいます。たとえば、父さんの介護を巡り、本人と母さんと私が言い合いになるとき。そんなに広い家でもないので、私が自分の部屋に行き、一人で頭を冷やそうとしても、ヒートアップした両親の声が聞こえてきます。そのうえ、どちらかが私の部屋までやってくることもあります。耐えかねて外に出ていくこともありましたが、同じ空間に戻ると、やっと冷静になった気持ちが再びくすぶり出して、ちょっとしたことで元に戻ってしまうのです。

 もちろん、何かあったときにすぐに対応できるなど、同居の利点がたくさんあることも知っています。一方で、身内という間柄でその距離感が近いからこそ、ずっと同じ空間にいると冷静さを失い、衝突することも多いのです。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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