元プロ野球選手 角盈男さん
一病息災
[元プロ野球選手 角盈男さん]前立腺がん(4)ピンチこそセーブに集中
「人生、何が起きるか、わからない」
58歳で友達と一緒に受けた人間ドックで自分だけが「がん」と言われ、気持ちに変化があった。
「少し運動した方がいいですよ」と医師に勧められ、ウォーキングを始めた。1日1万歩が目標だ。数字の目標設定は現役時代から慣れたもの。トイレがやや近くなったので、2時間の散歩コースではトイレの場所を意識している。
前立腺がんは、進行が遅く、見つかった時に骨などに転移していなければ、多くは命に関わらない。そんな知識もあって、「がん」と言われても、ショックという感覚はあまりなく、自分にとって良い治療法を探すことに集中した。
「ピンチの時、何ができるかを考える。職業病ですよ」
無死満塁での登板。当然のことながらプレッシャーがかかる。でも、「ここを抑えればヒーローだ」と、気持ちを前向きに切り替えてマウンドに上がった。
もし、「余命1年」と宣告されても同じだと思う。「1年しかないと考えるか、1年もあると考えるか。1年あれば、全国の知り合いにだって、あいさつに行く時間があっていいじゃないですか」。リリーフ投手として身についた習性は変わらない。
(文・渡辺勝敏、写真・横山就平)
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元プロ野球選手 角盈男 さん(62)
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