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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

「消毒しない」「乾かさない」…すり傷、切り傷の正しい治し方

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 東京2020オリンピック・パラリンピックの開幕まで500日を切りました。2017年から執筆させていただいている本コラムが、「東京2020参画プログラム」に認証されました

 東京2020参画プログラムは、東京2020大会を一過性のイベントとするのではなく、社会が変わったと言われるような大会にすることを目指し、レガシーを創出しようとする取り組みを認証しています。私は、スポーツ医学の知識を多くの人にわかりやすく伝え、ケガの予防、ケガからの競技復帰に生かしてもらうために本コラムを執筆しています。「スポーツ医学の知識の普及」を、東京2020大会の一つのレガシーにできるよう、コラム執筆だけでなくスポーツ医学検定の普及にも取り組んでいきたいと思います。今回のテーマは傷の処置についてです。

 中学生の女子サッカー選手のケースです。

 中学2年生のSさんは、週に2回、学校のグラウンドでサッカーの練習をしています。ドリブルで攻めている時にスライディングタックルを受け、膝を地面にぶつけました。膝には擦り傷ができ、若干出血しています。

まず傷を洗い、止血する

 

 まず、傷から細菌が入って感染が生じないよう、よく洗いましょう。出血があれば、ガーゼなどで圧迫します。多くの場合、5分ほどの圧迫で出血は止まります。それでも止まらない場合や、噴き出るような出血の場合は、圧迫したまま医療機関を受診すべきです。プレーを継続できる程度の傷であれば、他人に血液が付かないよう、傷口に当てたガーゼをテーピングや包帯でしっかり巻き、プレーに戻りましょう。

大抵の擦り傷は、放っておいても治りますが、思わぬ感染を起こさないため、また、できるだけきれいに傷が治るよう、適切な傷の処置を知っておく必要があります。

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大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、読売巨人軍チームドクター、日本スポーツ医学検定機構代表理事、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

 1976年大阪府生まれ、2002年滋賀医科大学卒業、14年横浜市立大学大学院修了。15年より東京医科歯科大学勤務。野球、空手、ラグビーを経験。スポーツ指導者などへのスポーツ医学知識の普及を目指して「スポーツ医学検定」(春、秋)を運営している。東京2020オリンピック・パラリンピックでは選手村総合診療所整形外科ドクター。

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1件 のコメント

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医療とスポーツの過渡期と行為の意味の変化

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

東京2020参画プログラムおめでとうございます。 色々揉め事はありますが、社会におけるスポーツの意味を確認し、時代に合わせて変化させていくことも...

東京2020参画プログラムおめでとうございます。
色々揉め事はありますが、社会におけるスポーツの意味を確認し、時代に合わせて変化させていくことも大事な事です。
それにより失われるものもありますが、住み分けも含めて、より多くの人にとって、より楽しく、学び、繋がりのある状況に変えていくことは大事です。
世代や地域による価値観の違いという障壁もありますが、子供の性質も社会の状況も多くの地域で昔と異なります。
重症オスグッドでスポーツ引退の子供を何人か健診で見かけて、少し残念な気持ちになりました。
練習量や靴の選び方、走り方、中長期視野にたっての打ち込み方など、もし、たら、れば、ですが考えてしまいます。
シニアスポーツの意義や価値が認知されれば、無理も減ると思います。

さて、本文にあるようなウェットドレッシングの技法は僕が研修医になった頃に新しくて、外科の上級医に勉強させられた記憶があります。
一方で、皮膚の持つシールド能力、バリア機能の意味合いを考えると傷を乾かすという発想も100%間違いではないですね。
湿潤環境向けの医療用品が安価で一般的になったことも変化を後押ししました。

結局、その時々の、使える医療用具や環境インフラ、日常生活による目標設定により実践されるべき医療行為も変わると言うことです。
日本などの水道の水がきれいな環境であれば、滅菌済生理食塩水より扱いやすい水道水の方がトータルで運用しやすいものになります。
一方で、そういう状況でなければ、ないなりの次善の策というものもあります。

また、消毒薬も状況によって、使い方によって、ですね。
内用外用の抗生剤の使用も含めて、また触れていただければと思います。
医療もスポーツも変化の過渡期で、行為の意味や役割が変わりますね。

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