山崎まゆみの「心もとろける癒やしの温泉」
医療・健康・介護のコラム
雪国の山が芽吹く頃に、子宝温泉へ(新潟・栃尾又温泉)
山が笑う風景――。
雪国の山に緑が芽吹くと、まるで山が爆発したかのような、エネルギーの坩堝となります。それまで雪で閉じ込められた木々や草が、一斉に、息を吹き返すように。
この様子は、そこで暮らす人たちの喜びであり、生きる力と希望を与えるものなのです。
これが雪国にやってきた、遅い春の「山が笑う」風景です。
雪深い地域で知られる新潟県南東部の湯之谷温泉郷のさらに奥に、旅館3軒がひっそりとあるだけの山峡のいで湯が栃尾又温泉です。多い年には、積雪が2~3メートルに達するほど、冬は雪に閉ざされる地域です。
だからこそ、栃尾又にやってきた遅い春は緑が眩く、地域全てがきらきらと輝くのです。
薬師堂に「子宝の湯」の証しがずらり
栃尾又温泉は開湯1300年、新潟最古の湯と伝えられます。
長く愛されてきた理由のひとつに、子宝の湯ということもあります。多くの人が湯治して、子供を授かりました。その証しに、栃尾又温泉には樹齢400年の杉や欅の木に見守られるように栃尾又薬師堂があり、お礼参りにやってきた人が供えたキューピー人形や絵巻がたくさん納められています。薬師堂の前には、子持杉と夫婦欅があります。「子持杉をまたぎ、夫婦欅をくぐると、子供が授かる」とのいわれ。
実は、私の両親がこの子宝の湯である栃尾又温泉につかり、私が授かったそうです。
幼少の頃から何度となく、その話を聞かされて育ちましたので、いまは、温泉に恩をお返しする気持ちで仕事をしています。下の写真は、2014年12月に夫婦欅と記念撮影したものです。
ラジウムが体を整え、自然治癒力を高める
栃尾又の子宝の湯は、なぜ、子宝なのか。
それは、栃尾又温泉の豊富なラジウム含有量にあるようです。自然界にあるラジウムは、体を整え、自然治癒力があると言われています。
さらに、ぬる湯であることも良い影響を体に与えます。栃尾又温泉には自在館、宝巌堂、神風館の3軒の宿の共同湯「したの湯」「うえの湯」があります。湯船は源泉そのままの状態で湯が注がれているのが「したの湯」で、浴場には「ぬる湯」と加温してある「あつ湯」の二つの湯船があります。
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