yomiDr.編集室より
医療・健康・介護のコラム
親の就寝時刻が、子どもの成長と学業に影響? 「親子で30分早く寝てみよう」
新年度が始まって約1か月。子どもが幼稚園や小学校に進学し、生活リズムに慣れさせるのに苦労している家庭も多いのでは? 小さな子どもにとって睡眠がどれほど大切なのか、適切な睡眠をとらせるにはどうすればいいのか、専門家の話を聞きながら、改めて考えてみました。(藤田勝 ヨミドクター副編集リーダー)
母親が夜型だと子どもが睡眠不足に…父親だと?
経済協力開発機構(OECD)のデータ(15~64歳対象)によると、日本人の一日の平均睡眠時間は、加盟国の中で最短の7時間22分。米国やカナダは8時間半超で、1時間以上も差があります。厚生労働省の国民健康・栄養調査のデータでは、40歳代男女の約半数が、一日の平均睡眠時間が6時間未満と答えています。
睡眠評価研究機構の代表・白川修一郎さん=写真=は、「アジアは全般的に睡眠時間が短い傾向ですが、日本が特に短い理由はよく分かりません。ただ、睡眠に関する教育不足や、精神論が好きで、仕事が非効率なこと、大都市圏の通勤時間の長さなど、様々な社会的要因があるのではないでしょうか」と推測します。
一方、子どもに必要な睡眠時間は、3~5歳は10~13時間、6~13歳は9~11時間とされています(表)。
親世代の睡眠習慣が、年少の子どもの睡眠習慣にも大きな影響を与えることは、白川さんや睡眠に関する研究組織が過去に行った研究で明らかです。大まかに言えば、母親が夜型だと、子どもも夜型の生活スタイルになりやすい傾向があります。特に母親の平均就寝時刻が午前零時を過ぎていると、子どもの就寝時刻も午前零時ごろと非常に遅くなるというのです。朝は登園、登校のために早く起きなければいけませんから、結果として必要な睡眠時間が確保できなくなってしまいます。
一方、父親の睡眠習慣は、さほど子どもに影響しないそうです。白川さんは、「子どもと接触している時間が長い方の親の影響が出る」と言います。
男性より短い女性の睡眠時間

日本人の女性の睡眠時間は、男性よりも短いのが特徴です。男性7時間28分に対して、女性は7時間15分です(OECDのデータより)。味の素が2014年に行った「ワーキングマザーのストレスと睡眠に関する意識調査」でも、「昼間眠くなる」「前日の疲れが残る」「朝すっきり起きられない」などの各設問に、約半数の女性が「非常にあてはまると」あるいは「良くあてはまる」と回答し、女性の睡眠の質の低さがうかがわれました。
白川さんは「日本は、女性の方が遅く寝て、早く起きる傾向があります。家事が女性に集中しやすいことや、男性よりも友人とのコミュニケーションが密で、夜にスマホなどを操作している時間が長いことなどが理由でしょう」と説明します。こうしたことが、子どもの睡眠に影響を与えている可能性があるのです。
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