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パパと産後ケア(1)「理想の父」演じ心病む

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 理想の父親像とのギャップに傷つき、一時はパニック障害になった。岐阜県可児市の会社員藤井正平さん(37)が、育児に悩み続けた6年間を振り返る。

 2012年11月、長男と産院で対面した瞬間、この子を守るのが使命なのだと力が湧いた。寛大に、時に厳しく家族を包み、子どもと向き合って生きたい。

 ところが、自分の心身を削り取るような毎日が始まった。長男は夜も1~2時間おきにぐずる。妻(37)を起こさないようそっと抱き上げて、揺らしながら暗いキッチンを回った。妻の授乳で我が子がすぐに落ち着くのを見て、逆に無力感が募った。趣味の釣りなど屋外レジャーを控えると、生活は色あせていった。

 1歳半を過ぎた長男は、何度諭しても「いや!」と首を横にふる。思わずどなり声をあげた。15年に次男が生まれてからは、自分が子どもを床にたたきつけて支配するイメージが頭をよぎり、必死に打ち消した。

 長男が生まれて以来続いていた耳鳴りが、だんだんとひどくなる。吐き気や不眠も悪化し、頻繁に心臓がドキドキした。

 昨年2月、家族とファミリーレストランに寄った時のことだ。子どものはしゃぐ声、注意する妻の声が耳に突き刺さり、隣の客や店員の目線が気になった。頭がくらくらとして座っていられない。家族を残し、逃げるように車に戻った。

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