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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

おいしくて、ダイエットにも。東北の春を告げる「ワカメ漁」へ

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ワカメのしゃぶしゃぶ、最高です!

 3月中旬、宮城県石巻市の牡鹿半島で暮らしている友人から、とれたての「生ワカメ」が届きました。段ボール箱をあけると、磯の香りが広がります。しかし、生のワカメをどのように料理したらいいのかわかりません。友人が言うには「ワカメのしゃぶしゃぶがおすすめだよ」とのこと。早速、鍋にだしをとり、ワカメを入れた瞬間、一瞬で鮮やかな緑色に変わりました。子どもたちが「うわぁ、すごい! 色が変わった!」と歓声をあげました。鮮やかな緑色になったワカメに、少々のポン酢をつけていただくと、その香りと歯ごたえに感動。一切れのワカメにこんなに感動するとは思いませんでした。

日本人のソウルフード「ワカメ」とその栄養

 みなさんはワカメがお好きですか? 私は今まで、「ワカメが苦手」という人に会ったことがありません。日本人の食生活になじみ深いワカメ。しかし、牡鹿半島の生ワカメに出会うまで、どのように育ち、どのように収穫されているのか、私は全く知りませんでしたし、さほど興味もありませんでした。しかし、3日連続で生ワカメのしゃぶしゃぶを食べるうちに、それが気になってしかたがなくなったのです。

 ワカメには食物繊維のほか、カリウム、鉄などのミネラルを含み、低エネルギーであることからダイエット中の方にもおすすめしたい食材のひとつです。また、乾燥品は長期間保存でき、おみそ汁の中にぱっと放すだけで食べられる簡便さに加え、価格が安定しているのもありがたいですね。

 海藻類には「ヨウ素」が特に多く含まれています。体内のヨウ素の7~8割は甲状腺に存在しており、甲状腺ホルモンの材料になります。日本人は世界の中でも特によく海藻を食べる民族なので、ヨウ素の欠乏症は起こりにくいとされています。むしろ取りすぎることで甲状腺機能低下症などの過剰症が心配です。

 「日本人の食事摂取基準」によると、ヨウ素の「耐容上限量」(健康被害をもたらすリスクがないとされる、習慣的摂取量の上限)は1日あたり3000マイクログラムとされています。また、胎児への影響を考慮して、妊婦は2000マイクログラムとなっています。「海藻」が体によさそうだからと、毎日大量に食べてしまうと健康被害が生じる恐れがあります。これまでのコラムでも繰り返しお伝えしましたが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

 とはいえ、カットワカメを水で戻して「ワカメサラダ」として30グラム食べた場合、含まれるヨウ素の量は約250マイクログラムです。他の海産物などと合わせて食べたとしても、よほど食べ過ぎなければ上限量には達しません。また、我が家のように限定的にたくさん食べることがあっても、毎日大量に食べ過ぎなければそれほど気にしなくてもよいでしょう。

いざ! ワカメを求めて牡鹿半島へ

 ワカメを送ってくれた友人に「おいしさは感動的だった。ありがとう」と伝えたところ、「ワカメの生産者に会い、現場を見てみますか?」との返事が。養殖ワカメを引き上げる船に乗せてもらえるというのです。

 「こんな機会はもう二度とないかもしれない。どんな人がこのおいしいワカメを作っているのか見てみたい」と思い、家族で牡鹿半島の小渕浜漁港を訪れました。

 まだ薄暗い朝5時に、浜には続々と男たちが集まります。ワカメ漁の親方は、仙台から来た私を快く船に乗せてくれました。波は穏やかで、東の空はうっすらとピンク色に染まり始めていました。漁船の上で受ける海風は心地よく、美しい空と海に見とれてしまいました。

船から見た海と空にうっとりです

 養殖場で、育てられたワカメをロープごと引き上げると、アッという間に船がワカメでいっぱいになりました。3月はワカメ漁の最盛期なので、土日祝日も関係なく毎朝収穫します。早く収穫しないと、海水温度の上昇で、ワカメが育ちすぎておいしくなくなってしまうそうです。引き上げたワカメは港でゆでられ、塩蔵にするなどの加工をされます。さらに、ワカメの根元にはメカブがついていますので、茎からメカブをそぎ落とします。採ったあとも大変な作業です。いつもおいしいワカメを食べられる感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 子どもたちは、港で茎についたままのゆでたてのメカブをみつけ、そのままかじりついていました。長女は「ワカメもメカブも好きだけど、見学したらもっと好きになった」と話していました。

 子どもたちにとって、毎日おいしくて、栄養のある食べ物が自宅に届くのは、生産者のおかげであることがしっかりと胸に刻まれたと思います。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

 

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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