文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

認知症介護あるある~岡崎家の場合~

もっと知りたい認知症

できないのに「できる」って言わないで! 要介護認定調査で夫婦バトル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

漫画・日野あかね

避けて通れぬ“その時”

 2年に1度の“その時”が、岡崎家にまた巡ってきました! 介護が必要な人がいる家庭では、もはや年中行事のようなものですが、毎度のことながら私と母さんはハラハラ、ドキドキ、湧き上がるさまざまな感情に翻弄される数日間を過ごしました。

 それは、「ピンポーン」という玄関チャイムの音とともに始まります。そうです。父さんの要介護認定更新のため、調査員たちがやってきたのです。

 介護保険でデイサービスや訪問介護などの介護サービスを受けるには、市町村に介護保険の利用申請をして、要介護認定を受けなければなりません。客観的な調査に基づいて、その人が生活の中でどのくらい介護が必要であるかを示す要介護度(心身の状態により、軽い方から順に、要支援1~2、要介護1~5の7段階に分けられる)を「認定」してもらうのです。

 ここでもし、「自立(非該当)」と認定されると、介護保険は使えません。要支援か要介護であれば、所得に応じて1~3割の自己負担で介護サービスを利用することができます。要介護度が高いほど、1か月間に使えるサービスの限度額も上がります。

 そして、要介護認定は、最長3年で見直しが行われます。介護保険を使い続けるには、この更新手続きは避けて通れないのです。

この日に限って

 これは、ほんと~~~によく聞く「認知症介護あるある」なのですが、認知症の人は、調査員が来る日に限って、普段のちぐはぐな言動はどこへやら、介護なんて必要ないかのようにかくしゃくとした振る舞いを見せることがあるのです。

 もちろん父さんにも、それはバッチリ当てはまります。いつもならばトンチンカンなことばかり言っているのに、調査員の質問には、「えー、ちゃんと答えた!」とか、「それ、自分ではできないのに、なんで『できる』って言ってるのー!?」と、同席している私や母さんは、心の中で大騒ぎしているのです。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

column_aruaru-200re

認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

hino-117-fin

日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

認知症介護あるある~岡崎家の場合~の一覧を見る

1件 のコメント

コメントを書く

要介護度が上がることでデメリットも

kuro-nyan

要介護度についてはだんだんどこの自治体でも厳しくなっていますが 同じサービスを使う場合,介護度が上がると,負担も多くなるように なりました。

要介護度についてはだんだんどこの自治体でも厳しくなっていますが
同じサービスを使う場合,介護度が上がると,負担も多くなるように
なりました。

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事