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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

コラム

子どもの早寝早起きは健康を害する!? 「始業を遅らせ成績アップ」の海外報告も

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。

 若者は朝が苦手です。寝起きの悪い子供を起こすのに、毎朝苦労している親御さんも多いのではないでしょうか。今回は、早起きしろと 叱咤(しった) 激励するのではなく、「そんなに眠いのならばもう少し寝坊してもいいよ」という逆転の発想で、高校生の眠気解消と成績アップに成功した海外の試みをご紹介しましょう。

中・高・大学生は8~9時間程度の睡眠が必要

 「眠い」「だるい」「ぼーっとする」など、朝にすっきり目覚められない経験は誰しもあるでしょう。特に若者ほど朝が苦手ですが、その主な原因は睡眠不足です。若者が睡眠不足に陥りやすいのには、二つの大きな理由があります。

 第一の理由は、疲労回復に要する睡眠時間(必要睡眠時間)が長いためです。思春期から青年期にかけての若者(中・高・大学生)の場合、睡眠不足を翌日に持ち越さないためには、平均で8~9時間程度の睡眠が必要とされています。とはいえ、受験勉強や部活などを頑張っていると、毎晩、睡眠を8時間確保するのは容易ではありません。そのため、多くの若者は睡眠不足を抱えたまま起床して学校に向かい、週末に寝だめをしているのが現実です。

 睡眠不足の第二の理由は、若者の夜型傾向です。2018年7月19日のコラム「『朝が苦手』は遺伝かも…無理な早起きは事故やうつ、心疾患のリスク 夜型の人に理解を!」でも紹介しましたが、私たちは、体質的に「朝型」か「夜型」の傾向を持っています。同年代でも早寝早起きが得意な人から、宵っ張り型まで大きな個人差があります。ただし、個人を見れば、一生の間に朝型夜型傾向は、一定の法則で変化することが分かっています。

夜型傾向は20歳前後がピーク

 具体的には、夜型傾向は思春期から青年期にかけて急速に強まり、20歳前後でピークとなります。その後は、年齢を重ねるごとに、緩やかに朝型傾向が強くなっていきます。つまり、もともと朝型傾向の人も、夜型傾向の人も、青年期は一生の間でもっとも早寝をしにくく、必要睡眠時間は長くなります。そのため、早起きが苦手になるのです。

 このような若者の睡眠の特徴は、身体機能の生物学的な変化に基づいています。「気合を入れろ!」などと昭和の香りのする精神論で叱咤激励しても、効率的に早寝早起きをさせることは難しい。いまや、時代は令和に代わろうとしています。発想を変えなくてはなりません。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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