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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち

コラム

「連載を終えて」松永正訓さん(下)障害がつらいか、つらくないか、決めるのも人の自由

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愛があふれた名畑さんの写真

名畑文巨さんが撮影した世界の障害のある子どもたちの写真は、40回の連載を通し、輝く笑顔と命の重さを届け続けた

名畑文巨さんが撮影した世界の障害のある子どもたちの写真は、40回の連載を通し、輝く笑顔と命の重さを届け続けた

――この連載で忘れてはいけないのが、写真家・名畑文巨さんが、世界の障害のある子どもと家族を撮影した作品でした。

 初回に掲載したミャンマーの赤ちゃんの写真は、見せられた瞬間にハッとさせられ、感動したのをおぼえています。その後も、毎回ゲラが送られてくるたびに、「おおーっ」と思いました。写真は、技術はもちろんですけれど、撮影する対象への思い入れが色濃く出ているのではないでしょうか。名畑さんの、子どもたちへの愛があふれてくるようでした。

――名畑さんの写真には、ダウン症の子どもたちが多く登場しました。ダウン症といえば、議論となっている新型出生前診断と関係が深い。連載後半では、新型出生前診断への言及も増えました。

 母親からの採血で診断できる新型出生前診断の大部分はダウン症の診断を行い、その後に陽性が確定した大部分で人工妊娠中絶が行われているのが実態です。障害のある胎児の人工妊娠中絶を巡っては、母親の権利、胎児の生きる権利……様々なものが絡み合い、論ずるのが難しいテーマです。しかし、われわれの社会はどうしていくのか、避けて通れない議論でもあります。今回の連載は、それを考えるヒントになれば、と思っていました。

「ワースト」を避けるための「ワース」

――松永さん自身のお考えはいかがですか。

 実はダウン症のケースだけを取り上げたのは、40回の連載中、1回だけなのです。というのは、先天異常の赤ちゃんが生まれる率は25分の1なのに対し、ダウン症の赤ちゃんが生まれる率は1000分の1。つまり、全体の40分の1でしかない。それなのに、新型出生前診断では主にダウン症がターゲットになっている。これには疑問を抱きます。

 日本産科婦人科学会がスタートさせたときは、限定した施設で、十分な遺伝カウンセリングをすることが実施の条件とされました。しかし、学会のルールに従わず、産科医と小児科医がそろっていない医療機関が、安い料金で行うようになりました。そうしたところでは、母親だけで検査を受け、結果は郵送で送られてきたり、スマホやパソコンで確認します。学会では、こうした最悪の事態をなくすために、当初の規制を緩めました。つまり「ワースト」を避けるために「ワース」を選んだのです。僕は、ちょっと危ないと思っています。

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いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち

 生まれてくる子どもに重い障害があるとわかったとき、家族はどう向き合えばいいのか。大人たちの選択が、子どもの生きる力を支えてくれないことも、現実にはある。命の尊厳に対し、他者が線を引くことは許されるのだろうか? 小児医療の現場でその答えを探し続ける医師と、障害のある子どもたちに寄り添ってきた写真家が、小さな命の重さと輝きを伝えます。

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松永正訓(まつなが・ただし)

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業、小児外科医になる。99年に千葉大小児外科講師に就き、日本小児肝がんスタディーグループのスタディーコーディネーターも務めた。国際小児がん学会のBest Poster Prizeなど受賞歴多数。2006年より、「 松永クリニック小児科・小児外科 」院長。

『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて13年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。2018年9月、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)を出版。

ブログは http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/

名畑文巨(なばた・ふみお)

大阪府生まれ。外資系子どもポートレートスタジオなどで、長年にわたり子ども撮影に携わる。その後、作家活動に入り、2009年、金魚すくいと子どもをテーマにした作品「バトル・オブ・ナツヤスミ」でAPAアワード文部科学大臣賞受賞。近年は障害のある子どもの撮影を手がける。世界の障害児を取材する「 世界の障害のある子どもたちの写真展 」プロジェクトを開始し、18年5月にロンドンにて写真展を開催。大阪府池田市在住。

ホームページは http://www.fumionabata.com/index.html

名畑文巨ロンドン展報告

ギャラリー【名畑文巨のまなざし】

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1件 のコメント

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医療を取り巻く認識と政治の問題

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

ブラックジャックによろしく、を最近読み返して、この15-20年での自身と社会の変化を考えました。 直接生産性のないものに対する、世間や一般の考え...

ブラックジャックによろしく、を最近読み返して、この15-20年での自身と社会の変化を考えました。
直接生産性のないものに対する、世間や一般の考え方の問題(偏見だけはなく)、感じ方の問題、そして、それに対する政治やマスコミの問題、その中の個人と組織の意見対立。

少なくとも、こういう連載が続いたこと自体が変化なのかもしれません。

件の反論コメントの回を拝見しました。
よくここまで、感情をむき出しにできるな、と思うような意見もあります。
匿名って強いですね。

僕も学生時代や研修医時代のわずかな経験のほか、せいぜい代診や健診程度でしか関与してませんが、こういうきっかけで知の問答をさせてもらっているとは思います。

差別は究極の所、気まぐれと好き嫌いの産物で、そこに利害対立がのっかったものです。
他人の考えや感じ方を変えることは難しく、反対意見を倒すのではなく、そのスカラーをも呑み込む忍耐やアイデアが必要だと思います。

「嫌い」という言葉は文字の上では憎しみですが「嫌いという言葉に愛を込めて」に書き換えればラブコメに変わります。

世の中は、カネとモノとサービス(仕事)の不等価交換の繰り返しで回っているので、その構造を考えてどういう枠組みをすれば動くか考えていく必要があります。

基本的に規模が大きくなるほどにサービスの質は向上し廉価になる経済の論理も、医療全体の一分野である、難病医療・介護に変化をもたらすわけで、そういう訴え方も大事かもしれません。
目先の物心の利害対立だけでなく、一歩引けば共通の利益も見えることもあるでしょう。

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