文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」

コラム

腰痛で痛み止めを飲んだら発熱に気づかなかった! 体温も下げる解熱鎮痛薬に注意

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 第5回目の本コラムは、大変幸運なことに新元号「令和」の最初の日に当たりました。記念の日なので何か華々しいコラムを書けるとよかったのですが、今回もいつもと同様の内容です。あしからず、ご容赦ください。いずれにしましても、旧元号中はたいへんお世話になりました。本元号におきましても、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回も前回に続き、市販の解熱鎮痛薬に関連した話です。前回は、「熱冷まし」としての服用でしたが、今回は「痛み止め」としての服用です。

 50代の女性が引っ越しの翌日、腰痛とだるさを感じました。夫に相談したところ、「市販の痛み止め(成分はロキソプロフェン)を持っているので、飲むといいよ」と勧められ、飲みました。すぐに腰痛は和らぎ、楽になりました。数時間後、引っ越し直後でまだ開けていなかった段ボール箱の中から体温計が見つかったので体温を測ったところ、36度台でした。「熱もないし、引っ越し作業による筋肉痛が原因だろう」と、その時は思ったそうです。

 その薬を2回服用し、その日は腰痛をほとんど感じずに過ごせましたが、翌朝、再び腰痛とだるさが表れ、ふらつきも加わったため、病院を受診しました。受診してすぐ、普段より血圧が下がっていることが分かりました。体温も38.5度でした。それまで一度も熱っぽい感じはしなかったそうで、とても驚いておられました。その後、急性 腎盂(じんう)腎炎(じんえん) (尿道から腎臓にまで細菌が入り込み、発症する細菌感染症)と診断され、そのまま入院となりました。

「急性腎盂腎炎」による発熱 服薬前に体温を測れば気づいたかも……

 体温が38度以上あっても熱っぽくは感じず、発熱していることに気づかなかったとおっしゃる患者さんは、割とよくおられます。このケースの方も、経過中、熱っぽい感じはなく、発熱していることにはまったく気づきませんでした。

 そして、引っ越し中という状況もあり、市販薬服用「後」の体温チェックとなりました。このケースの女性がかかった急性腎盂腎炎は高熱が出る病気ですので、服用前に体温を測定しておけば、もしかしたら発熱に気づくことができたかもしれません。そして、単なる筋肉痛で発熱するのはおかしいと考え、早い段階で受診できたかもしれません。日常生活では、いろいろありますね。なかなか、理想通りにはいかないものです。

「痛み止め」で使っても「熱冷まし」も付いてくる解熱鎮痛薬

 腰痛の時に薬を使うとしたら、解熱鎮痛薬(内服薬)または貼り薬・塗り薬(外用薬)のどちらかになると思います。前者の解熱鎮痛薬(内服薬)は、痛みを抑えるだけでなく、体温を下げる役割も果たす薬です。ここでのポイントは、解熱「かつ」鎮痛の薬であるということです。「痛み止め」の目的で使っても、「熱冷まし」の効果も一緒に付いてきます。

 そのため、解熱鎮痛薬を服用する前の体温チェックはとても大切です。服用後には、発熱は解熱鎮痛薬の効果で隠されてしまうことになるからです。痛みなどの不快に感じる症状は、体調の変化の注意警報であることが多いです。そして、体調不良の原因を考える上で、体温はとても大事なサインになります。

 このケースで服用した市販薬ですが、その市販薬のパッケージの表側には「痛み」に効くことは書かれていましたが、「熱」の記載はまったくありませんでした。その上、体温計がすぐに使える状況になかったなど、不運が重なったともいえる状況でした。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

dr.hira-prof150

平 憲二(ひら けんじ)
 1966年、宮崎県生まれ。総合内科専門医。株式会社プラメドプラス代表取締役。91年、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)卒。2001年、京都大学大学院医学研究科博士課程内科系専攻修了(臨床疫学)。03年、京都大学病院総合診療科助手。05年に株式会社プラメド、13年に同プラメドプラス設立。著書に「クスリ早見帖ブック 市販薬354」(南山堂)、「クスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方」(PHP研究所)、「クスリ早見帖ポッケ かぜ・解熱鎮痛・咳止め・鼻炎の市販薬」(大垣書店)。

Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事