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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

コラム

体外受精の費用がさらに高騰 43%が「1回50万円以上」と回答

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人工授精の費用はさほど変化せず

 人工授精の金額は、さほど変化をしていないことがわかります。これに対して、体外受精や顕微授精の金額が大きく変化していました。このグラフは体外受精費用の比較です。1回の治療に50万円以上かかると答えた人が、2010年では16%と全体の6分の1程度だったのに対し、18年は43%と4割以上を占めています。割合で比べると、実に2.5倍にも増えているのです。なぜ、こんなに高額化したのか。アンケートのデータだけでははっきりとした理由は見えてこないのですが、当事者たちの話などからは、治療費自体が高額になったところもあれば、様々な治療の選択肢が増え、その分の費用が加算されているケースもあるようです。

 不妊治療は、1度受ければそれで妊娠・出産に至るわけではありませんので、当事者はこの治療を何度も繰り返すことになります。早い段階で子どもに恵まれればいいのですが、そうでない場合は長期化し、治療費がかさんでいくのです。

「体外受精は金額の桁が変わり、本当にきつい」

 コメントでは「人工授精までは、そこまで負担だと思わなかったけれど、体外受精になってから金額の桁が変わり、本当にきつい。いつやめるか、夫と話してもなかなか決められない」「病院に行くたびに資金を集めて通っているのに、うまくいかない治療の結果を聞くのがつらいです。親にも話せないし、周りはみんな子どもがいるからわかってもらえないし、なぜ自分だけなんだろうと思ってしまう」「何度も何度も通院し、そのたびに時間とお金がかかり、夫への申し訳なさが募っていく。治療費も自分の給料や貯金を切り崩している。ここまでお金をかけないといけないのかと人と比べて (つら) くなり、治療をやめようかと何度も思ってしまう」など、資金繰りが大変だけれど、子どもを持つことを諦めることもできないせつなさが伝わってきます。

20代、30代は最初から治療を諦めるケースも

 また、Sさんのように、20代、30代のカップルの場合は、治療を始めることすら躊躇して、結局諦めてしまうというケースも少なくありません。さらに、その後、数年 () ってから「やっぱり諦められない」と治療を始めるも、その時には年齢がネックになってしまうという話も、大変よく聞きます。

 私は、子どもを持つことがすべてだと思ってはいないし、不妊治療を推奨するつもりはありませんが、治療をして子どもを授かりたいと願うカップルが、経済的なことで治療に踏み切れない、あるいは断念してしまうというのは、本当に残念なことです。Fineでは毎年、署名や要望書提出の活動をしています。子どもを願うカップルが、費用であきらめるのではなく自分たちのタイミングで授かれるよう、一人でも多くの赤ちゃんが誕生するよう、政府のサポートもぜひお願いしたいと思います。(松本亜樹子 NPOO法人Fine=ファイン=理事長)

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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