山崎まゆみの「心もとろける癒やしの温泉」
医療・健康・介護のコラム
息をのむ絶景、雲上の野天風呂(長野・高峰温泉)
秘湯の宿のご主人が「温泉健康講座」
自然と向き合いながら、源泉管理をする後藤さんは、まさにお湯を守る「湯守」。
日々、真摯に温泉に向き合っているわけですが、そんな後藤さんには、深い後悔があります。
それは、ご自身のお母さんを病院で看取ったこと。
最後は闘病生活でやせ細ったお母さんを、温泉での療養を考えずに見送ったことが大きな悔いとなりました。
そこで10年程前から、「温泉で健康管理ができたら、どんなにいいだろう」と考え、現在は、夕食前に「温泉健康講座」を開いています。
白衣を着た後藤さんがお客さんの前に現れます。
高峰温泉の源泉の説明と泉質ごとの効果・効能。講座に参加したお客さんの体調に合わせた入浴方法などをレクチャーします。
こうして個別に入浴法を聞くことができるのは珍しいので、後藤さんはいつも質問攻めにあいます。
「参加してくださる若い方から年配の方まで、肩こりや腰や膝の痛みで悩んでいる方が多いですね。3年ほど前にノルディックウォークの指導員の資格も取りましたので、温泉の交互入浴での筋肉のほぐし方と体の矯正の方法、肩甲骨の動かし方を中心に指導することが多いです」(後藤さん)
交互入浴で肩こり、腰、膝の痛み、冷え性に効果
高峰温泉には26度の源泉と42度の加熱したお湯に入ることができます。この「交互入浴」は、筋肉がほぐれるとともに疲れも取れます。私は、身体がだるいと感じる時は、温度の異なる湯船に交互に入るようにしています。湯上がりは、すっきりとした感じになりますよ。それに加えて、硫黄成分は血管拡張作用があるので身体を温めます。冷え性の方には特におすすめです。
大自然が手に届く距離にある高峰温泉――。
簡素ですが、宿はとても清潔です。
「防寒対策のため、2018年の12月に窓を三重サッシにしました。それに、野天風呂を全面改修したんですよ。入った時に広く感じられるように、以前の湯船よりも5センチ深くしました。また高野槙=湯船等に用いられる高級木材=を使って、肌あたりの優しさにこだわりました」(後藤さん)
山のいで湯ですから、登山基地として利用するお客さんもたくさん。山歩きを目的としていなくとも、野鳥を観察したり星空を眺めたりできるなど、宿にいながらにして自然に触れられる環境が高峰温泉にはあります。
これからは緑が芽吹きます。
最も高峰温泉が美しいと感じる春がやってきます。
このコラムでは、温泉が持つ本来の力や秘められたスト―リーなどを、皆さんにお届けするために綴ります。ご愛読下さい。
高峰温泉
【 所在地 】〒384-0041 長野県小諸市菱平704-1
【 電 話 】0267-25-2000
【 泉 質 】含硫黄―カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉
【 効 能 】神経痛、筋肉痛、リウマチ、切り傷、火傷、皮膚病、冷え性、慢性消化器病、糖尿病、痛風、肝臓病
【アクセス】東京・新宿から直行バスが出ています(往復約6000円)。夏季は宿の玄関前に到着。冬季はスキー場駐車場まで。宿から雪上車で迎えに来てもらえます。
【ホームページ】https://www.takamine.co.jp/
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