渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」
医療・健康・介護のコラム
歯が磨けているのは10人のうち1、2人!?
歯磨きができているか顕微鏡でチェックしてみると
歯磨きができているかどうかチェックを受けるため、歯ブラシ指導を受けた歯科医院を指示通り2週間後に受診しました。
この診療所では歯科衛生士さんも顕微鏡を使います。写真は筆者ですが、かけているのはサングラスではなく専用ゴーグル。顕微鏡の画像がそのまま映ります。いろいろな機器があるものです。これだと説明を聞きながら、磨けているかどうか自分の目で自分の口の状態を確かめられます。
この2週間、指導を思い出しながらていねいに磨き、フロスでの仕上げを欠かさずに続けてきました。「よく磨けていますね。歯茎の状態はとても健康です」。「やったー」と心の中で思わずガッツポーズ。
掃除ができていたという喜びだけではなく、磨けていたら診療費は30分で5400円、磨けていなかったら再度指導が必要なので60分で8640円、と前回言われていたので、約3000円浮いたことも含めての「やったー」でした。顕微鏡の利用も、料金システムも、自費診療の歯科医院として患者の納得感を引き出し、動機付けを強化する工夫のようです。
歯磨きチェックの後は、歯周病の検査。歯茎を圧迫したり、歯周ポケットの深さを測ったり。出血するか、検査の針がどう入るか。これも自分で見えます。「出血も深いポケットもありません。歯周病は大丈夫ですよ」。1年ほど前にはいくつか3~5ミリの歯周ポケットを指摘されましたが、どうやら改善したようです。一度、歯石を取ってもらって、お口の掃除方法を改めてきただけです。プロの手も借りましたが、自分の力で良くすることができるんですね。
習慣を今日から改める
お口の掃除は一生取り組んでいく毎日の習慣です。一昨年、105歳で亡くなった医師の日野原重明さんは多くの名言を残していますが、その幾つかが思い浮かびます。「人生とは、一言で言えば習慣」「人はいくつになっても生きかたを変えることができる」「食事、運動、仕事、睡眠を見直し、今日から改める」(著書『生きかた上手』より)。お口の掃除の習慣も、幾つになっても今日から改めることができます。ただし、磨けているかどうか、プロのチェックが必要だと思います。
(渡辺勝敏 読売新聞記者)
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