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宮本亜門さんが診断を受けた「前立腺がん」とは?

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進行が遅く多くは心配ないが、死亡者は増加

宮本亜門さんが診断を受けた「前立腺がん」とは?

 演出家・宮本亜門さん(61)が2日、前立腺がんであることをツイッターで公表した。前立腺がんとは、どのような病なのだろうか。

 前立腺がんは、男性では胃がんに次いで患者数が多く、毎年8万人以上に新たに前立腺がんが見つかる。他の臓器に転移がなければ、ほかのがんに比べ、比較的進行が遅いがんなので、適切な治療をすれば、寿命に影響しない可能性が高い。それでも、毎年1万2000人余りが亡くなっており、死亡者数は増えている。前立腺がん事情について、順天堂大学大学院泌尿器外科学教授の堀江重郎さんに聞いた。

大きさだけではなく悪性度が重要

 がんは一般に、大きさや広がりによって1期から4期に分けられ、治療結果の目安として、診断から5年後に生きている「5年生存率」が治癒の指標になっている。前立腺がんは、がんと言っても命にかかわらないタイプが多く、国立がん研究センターのホームページでは、1期から3期までの5年生存率は100%。骨や肝臓、肺など他の臓器への転移がある4期は64%と紹介されている。

 「前立腺がんは、転移していなければ、多くは心配する必要はありません。しかし、10年生存率を見ると、2期は90%、3期は85%ぐらいになるので、『5年間再発がなければ治癒』とは、必ずしも言いきれないところがあります」と堀江さんは指摘する。

 それでは、命にかかわる転移を起こすかどうかを分けるのは何だろう。前立腺がんの診断では、大きさだけではなく、がんの悪性度が重要だという。治療方針を決める前にがん組織の病理検査をし、9段階で悪性度を評価する「グリーソンスコア」で分類する。「6以下」は低リスク、「7」は中リスク、「8~10」は高リスクとされる。がんが大きい場合は、悪性度が高い傾向があるという。

 「がんと診断されても、6以下なら治療をせず、経過観察をするのが主な選択になります。8~10では転移の危険が出てきます。悪性度が高いと、がんが前立腺の中にとどまっている2期でも転移を起こすことがあります。医学的に大まかな危険度はわかりますが、がんは時間とともに性質が変化することがあるので、転移するかどうかは残念ながら交通事故のように予測が難しいのが現実です」

 現在、遺伝子からがんの危険度が予測できないか、研究が行われている。

命を失わないためにできることは?

 前立腺がんを早期発見するために、血液でPSAというたんぱく質の数値を調べる検査が広く行われている。一般に基準の「4ng/mL」を超えた時は、前立腺に針を刺して十数か所の組織を採取し、がんかどうかを調べる精密検査を行う。体に負担のある検査でもあり、順天堂大では、PSAが基準値を超えた時、MRI(核磁気共鳴画像)検査の画像で診断し、がんの可能性が高い場合に針を刺して組織を取って病理検査を行っている。

 「PSAは前立腺肥大でも数値が上がり、がんかどうかや悪性度はわかりません。しかしMRIなら75%ぐらいの確度で診断できます。MRI検査でがんと診断した上で針を刺す生検をする形に、検査のスタンダードは今後変わっていくでしょう」と話す。

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