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長男は30年ひきこもり…70代父「私が倒れたら、どう生きていくのか」

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長男は30年ひきこもり…70代父「私が倒れたら、どう生きていくのか」

ひきこもり当事者が週3回集まって交流する東京都豊島区のフリースペース。ファイナンシャルプランナーらが相談にも応じる

 内閣府の初の実態調査で、約61万人と推計された中高年のひきこもり。ひきこもっている本人が高年齢化し、親も高齢になって、家族が社会から孤立するケースが問題化している。80代の親とひきこもる50代の子供を意味する「8050問題」と称されるが、地域社会などの多様なサポートが求められている。

 東京都品川区に住む男性(53)は1989年に私立大学を中退し、プログラマーとしてIT企業に勤めたが、仕事の時間管理が苦手で、2~3年ほど勤めてはひきこもることを繰り返してきた。40代半ばでリストラされると本格的にひきこもり、一時は昼夜逆転の生活でオンラインゲームに没頭したという。「自分を責めながらも、外に出るのがこわく、一歩が踏み出せなかった」と当時を振り返る。

 だが、50歳になる前、友人に付き添って、発達障害の当事者会に参加。そこで、同様の生きづらさを抱える仲間と出会ったことで外に出る楽しみを思い出し、自身も発達障害の診断を受けた。障害福祉サービスの利用もできるようになり、今は少しずつ、社会とのつながりを取り戻している。

 男性は現在、87歳の母親と2人暮らし。「これからの生活に不安はあるが、助けを求める方法がわかったので気持ちは楽になった。他人や社会を信頼できるようになるきっかけを見つけることが大切だと実感している」と話す。

          ◇

 「今はなんとかやっているが、私たち夫婦が倒れたら本人はどう生きていくのか」。都内の70代の父親は、約30年間ひきこもっている40代の長男をそう心配する。

 70代の妻と長男の3人暮らし。長男は中学3年生の時にいじめがきっかけで不登校になり、夜間高校に入ったもののすぐに通わなくなり、ひきこもりになった。長男は精神的な不安定さから暴れて物に当たり、自宅の壁には穴が開いていた。

 父親は単身赴任が長く、長男と向き合えないまま過ごしてきた。仕事を引退した10年ほど前から、ひきこもりの子供がいる親らの家族会に参加するようになった。「まずは息子を受け入れよう」と考えるようになり、徐々に会話ができるようになっている。

 ただ、生活は父親の年金に頼っている。長男には月2万5000円の小遣いを渡しているが、「自分たちが死んだ後はどうするのか。息子が自立できるよう、人とやり取りできるようにさせて、いろんな経験を積ませないといけない」と、焦りを感じている。

家族ごと孤立「支援必要」

 

 ひきこもりを巡っては、親が世間体や偏見などを気にして周囲に相談できないまま、家族ごと社会から孤立することが少なくない。特に中高年になると親も高齢化するため、親が死亡して判明するケースもある。

 都道府県や政令市には、「ひきこもり地域支援センター」があるが、地域によって人手や支援体制は十分ではなく、39歳までとしていた地域もあった。ひきこもりの背景や、家庭の経済状態も多様なため、自治体の生活困窮者自立支援や障害福祉サービスなど様々な機関が連携した対応が求められている。

 ひきこもり当事者や親でつくる「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の伊藤正俊・共同代表は「家族はなかなか相談できず、勇気を出して相談しても、適切な助言が得られず、途中で支援が絶えてしまうこともある。背景には複雑な問題が絡み合い、一人一人にあった支援が必要だ」と話している。

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