文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr.イワケンの「感染症のリアル」

コラム

発症したら死亡率100%! 狂犬病、ぜひ予防を

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

流行地に行く前にトラベルクリニックで予防接種を

発症したら死亡率100%! 狂犬病、ぜひ予防を

 というわけで、海外渡航をする皆さん。狂犬病流行地に赴くときには、必ず予防接種を受けていってください。日本にもトラベルクリニックがありますが、こういう場所で渡航前予防接種を提供しています。神戸大学病院感染症内科では、1か月間に3回の筋肉内注射での狂犬病予防接種を推奨しています(接種方法はいろいろあります)。注意一秒  怪我(けが) 一生。狂犬病の予防をちゃんとしておけば、死に至る病を防ぐことができるのです。ところで、故・立川談志は「あれは、注意一生 怪我一秒が正しいんだ」と言っていました。どっちが正しいのかなー。

(参考)日本旅行医学会のホームページ
http://jstm.gr.jp/infection/%E7%8B%82%E7%8A%AC%E7%97%85/

 各地のトラベルクリニックのリストは 日本渡航医学会ホームページ からも閲覧できます。

 このリストに載っていない医療機関でも予防接種を提供しているところはあります。神戸市だと 中央市民病院海星病院 が有名です。いろいろ調べてみてください。

予防接種を受けずにかまれたら、免疫グロブリンやワクチンで曝露後予防

 万が一、予防接種を受けずに海外に行き、犬にかまれたとしても、そこで絶望する必要はありません。曝露後予防と言って、狂犬病の免疫グロブリンやワクチンを注射して、発症を防ぐことができます。ただ、この場合ワクチンの接種回数はとても多くなります(いくつかの方法があるのですが、少なくとも4回)。

 あと、日本国内では狂犬病免疫グロブリンは入手できません。曝露後予防はできるだけ急いだほうが良いこともあり、海外のクリニックで免疫グロブリンと曝露後予防接種を受けることが必要なときもあります。ぼくは2003年から04年まで北京の国際クリニックで診療していましたが、中国内外で犬にかまれた、という電話連絡を受けてクリニックに搬送してもらった赤ちゃんなどに免疫グロブリンやワクチンを注射していました。

予防接種を受けていても、かまれたら追加接種が必要

 事前に予防接種を受けていても、やはり犬にかまれたときは追加の予防接種が必要です。でも、その回数は2回だけですし、免疫グロブリン注射は要りません。ということは、日本に帰国してから対応することも十分にできるってことです。

 海外に留学したり、駐在したりする人の健康維持は大切です。旅行保険が重要なのはよく知られていますが、事前の予防接種については割とノーガードです。学校の保健センター医師や産業医なども十分に推奨していない場合もあるようです。もう一度言っておきますが、狂犬病は発症したらそこでおしまいです。「保険」としての予防接種、しっかり準備してから現地に赴きましょう。(岩田健太郎 感染症内科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

iwaken_500

岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

Dr.イワケンの「感染症のリアル」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事