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僕、認知症です~丹野智文45歳のノート

コラム

根本厚労大臣が、認知症の人の声に「目からウロコ」

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副大臣とともに当事者と意見交換

 先日、認知症の当事者団体「日本認知症本人ワーキンググループ」(JDWG)の仲間たちと一緒に厚生労働省を訪問して、根本大臣、大口副大臣と面会しました。政府の認知症の政策大綱が今年5月頃にまとめられるのに向けて、意見交換の場が設けられたのです。

 JDWG側の参加者は、私を含め男女4人。最年長は、長野県上田市の元教員、春原すのはら治子さん(76)で、先月末に45歳になったばかりの私とは、30歳以上の幅があります。年齢だけでなく、住んでいる地域や職業なども様々でした。

厚生労働省の大臣室で、根本大臣(奥の向かって左)、大口副大臣(同じく左から2人目)と同じテーブルで語り合いました

共通の夢は聖火ランナー

 最初に根本大臣から、「認知症があっても、地域で普通に生活していける『認知症バリアフリー』な社会を目指したい。率直な意見や思いを伺って、よい内容の政策大綱を一緒に作っていきたい」という話がありました。JDWGからはまず、代表理事の藤田和子さん(57)が、「(政策大綱を)誰のために作るかを考えて、ぜひ当事者の視点を生かしてほしい。希望のリレーをつないでいくために、一緒に頑張りたい」と答えました。

 東京都品川区の柿下秋男さん(65)は、1976年のモントリオール五輪にボートで出場したトップアスリートです。その柿下さんと私の共通の夢が、来年の東京オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーとして走ること。私たちがそう話すと、根本大臣はハッとした表情になり、「それはいい! すごくいいですね!」と、賛同してくれました。

 もしかしたら大臣も、認知症の人が聖火リレーに参加するなんて、今までは考えたこともなかったのかもしれません。

災害と同じく備えが大切

 私からは、認知症の予防だけでなく、認知症になってしまったときにどうやって生きていくかということを考えるのも大切だという話もさせてもらいました。最近、安倍総理も国会で「予防」を繰り返し強調しています。ただ、予防が全てのようにとらえられると、予防に励んでいた人が認知症になってしまった時、「もうおしまいだ」と絶望してしまうんじゃないかと思うのです。ですから私は、「災害は止めることはできないけれど、食料や燃料を確保しておくなど、備えることはできる。認知症も、なってしまった時にどう生きるかを考えておくことが大切なのではないでしょうか」と、話しました。

 30分ほどにわたり、私たちがそれぞれの考えを語る間、根本大臣は何度も驚いたような表情を浮かべ、「目からウロコだ」と言っていました。

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丹野智文(たんの・ともふみ)

 おれんじドア実行委員会代表

 1974年、宮城県生まれ。東北学院大学(仙台市)を卒業後、県内のトヨタ系列の自動車販売会社に就職。トップセールスマンとして活躍していた2013年、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。同年、「認知症の人と家族の会宮城県支部」の「若年認知症のつどい『翼』」に参加。14年には、全国の認知症の仲間とともに、国内初の当事者団体「日本認知症ワーキンググループ」(現・一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」)を設立した。15年から、認知症の人が、不安を持つ当事者の相談を受ける「おれんじドア」を仙台市内で毎月、開いている。著書に、「丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-」(文芸春秋)。

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