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透析って中止していいの?…公立福生病院のケースに問われること

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透析患者は平均68歳 がんや心血管疾患の合併も多く

 その背景にある大きな要因は患者の高齢化だ。同学会のデータでは、平均年齢は1985年の50.3歳から、2017年は68.4歳と高齢化が進んだ。原因となる病気は、以前は若い人にも多い慢性糸球体腎炎が大半だったが、2011年からは糖尿病性腎症が1位。がんや心血管疾患など重たい病気を抱えながら、透析を受ける高齢者も増えた。

 終末期と呼べるような段階になった時、血圧の変動など体への負担の大きい血液透析は逆に危険なこともある。また、透析は腎臓の機能をすべて補えるわけではなく、様々な合併症が起きてくる。どこまで続けるべきか、現場で判断に悩む場面が増え、中止や非開始の例もしばしば報告されていた。同学会のアンケートでも、学会員から一定の指針を求める声が多かった。

透析患者の年齢分布の推移 1982~2017(日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)」より)

学会が透析「見合わせ」プロセスの提言

 超高齢社会を迎え、終末期医療のあり方についてはすでに、厚生労働省や日本老年医学会、日本救急医学会などが指針を示しており、日本透析医学会もそれらを参考に提言を作成。「患者への適切な情報提供と患者が自己決定を行う際の支援」「自己決定の尊重」などの柱のほか、医療チームが血液透析の「見合わせ」を検討する状況として、安全に実施することが困難で、かえって生命を損なう恐れがある場合や、全身状態が悪く、本人の「見合わせたい」という意思が明確である、あるいは家族が本人の意思を推定できる場合などを挙げた。

 今回の福生病院のケースで問われているのは、「透析中止に至る判断や手続きが適正だったか」ということだ。患者を死に誘導するようなことがあったのか。患者は透析中止の決定を翻して、本当に再開を望んでいたのか。それに対する病院側の対応に不備はあったのか……。問題点があれば明確にしたうえで、今後の透析医療に生かしていく必要がある。

 終末期医療に詳しい「自分らしい『生き』『死に』を考える会」代表の渡辺敏恵医師は「この治療をしたらどうなる、しなかったらどうなる、というのは、患者が判断するのに必要な情報で、一方しか提示しない方が問題。QOL(生活の質)を考えて、治療しない選択もある。昨年改訂された厚労省の終末期指針には、アドバンス・ケア・プランニング(ACP=人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス)の概念が盛り込まれた。早い段階からACPに取り組み、本人の意思を確認できていれば、今回のような問題は防げるのではないか」と話している。(藤田勝 ヨミドクター副編集リーダー)

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