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生殖医療40年(5)「似てない」出産後の葛藤

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生殖医療40年(5)「似てない」出産後の葛藤

白井さん(右)に自らの不妊治療の体験を語るEさん(2月18日、都内で)

 桜が満開の東京・代々木公園。仕事仲間が集った2018年の花見は、東京都内の女性Eさん(47)にとって、1歳になった長男をお披露目する場でもあった。

 「お子さんハーフっぽい。Eちゃんに似てないね」

 酔った友人の言葉に、Eさんは顔をこわばらせた。似ていないはずだ。他人の卵子で産んだのだから。「出産がゴールと思っていたけど、新たな葛藤のスタートだと実感しました」

 16年にマレーシアに渡り、アジア系の若い女性の卵子をもらった。それを夫の精子と体外受精させた受精卵で妊娠、17年1月に出産した。

 20~30歳代は、歌手やタレントとして成功することを目指していたEさん。アルバイトで生計を立てながら夢を追うのに忙しく、友人が出産したと聞いても気にならなかった。

 39歳で結婚。41歳で子宮 けい がんを経験して気持ちが変わった。幸い子宮の入り口を一部切除しただけで済んだ。もっと進行していたら、子宮全摘は避けられなかった。突然、強烈な感情がわき起こった。「赤ちゃんが産みたい」

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