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大人の健康を考える「大人び」

コラム

患者力(8)病院周辺 イメージ歩行

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 このシリーズでは、元和歌山市医師会長で、田中内科医院(和歌山市)院長の田中章慈さん(71)に聞きます。(米井吾一)

 

患者力(8)病院周辺 イメージ歩行

 肺がんの手術が終わった日の夜を迎えました。麻酔から覚めた頭の中にあったのは、「どうすれば早く歩けるようになるか」ということです。

 手術をする外科系の医師は、できるだけ早く歩くよう患者に言うものです。体を動かすことで血流が改善し、治癒力が高まる――ということは昔から言われている話です。私自身、病室でただ寝ているだけでは時間がもったいないと考える性格です。さっそくベッドの上で、体中にチューブやコードが付いた状態で、“イメージ歩行”を始めました。

 「三百六十五歩のマーチ」のリズムにあわせて布団の下の手足をもぞもぞ動かし、近くの景色を思い浮かべながら病院周辺を2週歩きました。

 ベッドはぎしぎしと揺れていました。誰かが、私の姿を見ていたなら、さぞ奇妙に見えたことでしょう。左肩はわずかに動かすだけで痛みが走りましたが、それに耐えながら関節を動かすことに集中しました。いつしか疲れてしまい、眠りに落ちていました。

 手術の翌日の朝。術後の経過は良好で、血圧も安定、尿量も十分です。一部を除いてチューブやコードも外してもらい、下半身が自由になりました。「歩いてもいい」との許可を得たので、ベッドサイドに立ちました。ふらつきがないことを確認し、看護師さんに付き添われながら、点滴の支柱をつかんで歩き始めました。

 病棟の廊下、談話室、屋上ガーデン……。術後から24時間もたたないうちに立位と歩行を達成しました。

【略歴】
田中 章慈(たなか しょうじ)
1973年、和歌山県立医科大学卒。同大学助手を経て、和歌山赤十字病院第二内科副部長。85年、田中内科医院開設。2008年から13年まで、和歌山市医師会会長を務めた。日本臨床内科医会理事。

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