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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

コラム

不眠「何週間も続く」「日中だるい」「原因不明」なら要注意!…うつ病の可能性も

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。

 不眠はとてもポピュラーな症状です。誰でも一度や二度は寝苦しい夜を経験したことがあるでしょう。でも、長引く不眠はうつ病のサインであることも。不眠チェックをうつ病の早期発見に役立てる試みも行われています。

うつ病は今後、最も社会的影響が大きな疾患に

 

不眠「何週間も続く」「日中だるい」「原因不明」なら注意して!…うつ病の可能性も

 うつ病は、頻度の高い精神疾患の一つです。気分が落ち込み(抑うつ気分)、仕事や趣味に興味を持てなくなるため、日常生活に大きな支障が生じます。うつ病のために能力を十分に発揮できず、休職を余儀なくされる人もいます。自殺が社会問題となって久しいですが、その大きな原因の一つとなっているのがうつ病です。

 国内の調査では、調査時点までにうつ病を経験した人は約15人に1人、過去12か月間にうつ病を経験した人は約50人に1人と、非常に多くの人がかかる病気であることが分かっています。

 世界保健機関(WHO)では、その疾患によって早く亡くなったり、生活上の障害を余儀なくされたりした期間を表す目安として障害調整生命年(disability-adjusted life year、DALY)という指標を用いていますが、うつ病は2030年には全ての疾患の中で第1位になると考えられています。すなわち、うつ病は、人類にとって最も社会的影響が甚大な疾患になるということです。

うつ病患者の8割以上に「不眠」が

 うつ病の効果的な治療のためには、早期発見が大事です。ところが、これが容易ではありません。というのも、うつ病の中心的な症状である「抑うつ気分」や「意欲・関心の減退」を自覚できる(症状として訴えることができる)人は少ないため、ご本人もなかなか専門医に相談しようとせず、周囲も気付きにくいのです。「仕事の能率が上がらないのは自分の能力が低いから」「意欲が出ないのは気構えができていないから」などと自分を責めるばかりで、不調を病気としてとらえ、治療しようとする人が少ないのです。

 一方、こうした中心的な症状以外にも、うつ病では、「不眠」「食欲低下や体重減少」「下痢や便秘などの胃腸症状」「ほてり」「 動悸(どうき) 」「めまい」など、さまざまな身体症状が出現します。うつ病と診断がつく前に、内科や産婦人科、耳鼻科など何か所もの医療機関を受診することもあります。そのため、かなり重症になってから精神科などへ行き、回復に時間を要することが少なくありません。

 そこで、早期発見のために着目されたのが「不眠」です。うつ症状の中でもとりわけ不眠は頻度が高く、患者さんの8割以上に見られ、うつ病の診断基準にも入っているくらいです。不眠は自覚しやすく、産業医やかかりつけの医師に相談しやすい症状です。そして何よりも、不眠は最も早期から出現する症状の一つであるのが大きな特徴です。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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