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肩腱板断裂 50歳以上の4人に1人…早めに診断してリハビリ

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肩腱板断裂 50歳以上の4人に1人…早めに診断してリハビリ

 50歳前後で起きやすい肩の痛み「五十肩」と似たような症状が出る「肩 腱板けんばん 断裂」。放置すると悪化しやすく、早期の診断と適切な治療が大切だ。(冬木晶)

 肩の腱板は、上腕骨と肩甲骨をつなぐ筋肉の先にある腱だ。断裂すると肩を動かす時に強い痛みが出て、動く範囲も狭くなる。腕を上げ下げする際、「ゴリゴリ」などとこすれるような音がすることもある。

 原因不明の炎症が肩の周囲に起きるが、腱板の断裂はない五十肩と違って、腕を上げる時に力が入らなくなるのが特徴だ。物を持ち上げることが難しくなり、仕事や家事、スポーツなどに支障が出る。

 50歳以上の4人に1人が発症するとされ、ピークは60歳代。加齢に伴って、すり減った腱板が切れると考えられている。男性の方が症状が出やすく、多くが利き腕の肩を痛める。転倒で手をついたり、打撲で肩に強い衝撃が加わったりした際に起こることもある。

  まず痛み抑え安静

 一度切れた腱板は自然には元に戻らない。しかし、最初から腱板全体が断裂するわけではなく、治療は、傷ついていない部分を保存することから始める。

 まず服薬や注射で強い痛みを抑え、1~2週間安静にする。その後、作業療法士らの指導を受けながら、ゴムチューブを使った筋トレや肩をすくめる動作といったリハビリを繰り返す。傷ついていない部分の働きを良くするためだ。

 リハビリを3か月間続けても、痛みが消えず、可動域も広がらない場合は手術を検討する。

 多くは、内視鏡を使った手術で、肩に小さな穴を数か所開けて、断裂した腱板と上腕骨を糸で縫合する。骨には糸のついたチタン製ねじの「アンカー」を埋め込むが、骨に吸収されるタイプのアンカーも登場している。手術後は肩を一定期間固定した後、リハビリをする。日常生活復帰の目安は3か月程度だ。

  五十肩とは限らず

 適切な治療を受ければ、ほとんどの場合、回復を見込めるが、自然に治ることがある五十肩と思い込んで、痛みを我慢していると、断裂の範囲が徐々に広がってしまう。断裂が大きくなると、手術をしても、肩が引きつるような違和感が残ることがある。

 40歳を過ぎて肩が痛い、腕が上がりにくいと感じたら、整形外科を受診するのが望ましい。超音波検査やMRI(磁気共鳴画像)検査で、断裂の範囲や程度はわかる。早期に発見すれば、リハビリだけで改善できる可能性が高まる。

 丸太町リハビリテーションクリニック(京都市)の森原徹・副院長(整形外科)は「肩の痛みを五十肩と自分で判断するのは禁物です。五十肩でも治療を受けた方がいいケースもあり、まずは受診をお勧めします。予防策としては、重い物を持つ時はわきを締めるなど、腱板に負担がかからないような動きを意識してください」と話している。

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