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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

「産みたい」より「育てたい」派なら、養子縁組も早くから選択肢に

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養子縁組や里親制度は選択肢に挙がりにくいのが実情

 では、なぜこんなにも養子縁組や里親制度は選ばれないのでしょうか。その一つには、情報の少なさがあります。つまり、そもそも子供を授かる選択肢に挙がってこないということ。養子縁組の体験者の声を直接聞ける場も見つけにくく、自分たちが養親になるには、どこに行けばそうした情報が得られるのか、手続きはどうしたらよいのか、などがほとんど知られていません。

 実際には里親制度の場合、地域の児童相談所が窓口になり、認定要件や手続きなどを教えてくれるはずですので、もし気になる方がいたらぜひお問い合わせされるとよいと思います。一方、民間団体の養子縁組制度の場合は、自ら申し込んで必要な手続きを取り、研修などを受けて、ご縁が巡ってくるのを待ちます。団体はあまたあるので、どこをどう選んでいいのかわからない、あるいは探せない、ということもネックになっているでしょう。友人たちが子供を迎えた民間団体も様々で、聞けば、いくつかの団体の説明会に参加するなどして、自分たちに一番合うと思うところを選んで登録したといいます。

 もう10年以上前になりますが、友人のHさんがある日、興奮して電話をかけてきました。「あのね、明日、もしかしたら、赤ちゃんが来てくれるかもしれないの! もう、うれしくて眠れそうにない~~!」。私もびっくりして「うわぁ、すごいね! よかったね! 私もうれしい~」と、2人で治療中の苦労を泣き笑いしながら、しばらく語り合ったことを、今でも覚えています。

4月4日は「養子の日」 3月30日に都内で啓発イベント

 養子縁組について思うところは多々あり、とても書き切れないので、この続きはまたいつか書きたいと思いますが、読者の皆さまへこれらに関する情報を二つ。

 1)毎年4月4日は養子の日です。これにちなんで、3月30日(土)に、日本財団主催の「よ~しの日啓発ウィーク 2019」という、養子に関するイベントが東京都内で開催されます。無料で事前申込制。講演に加えて、全国から民間団体が集まって養子に関する相談ができます。体験者の話も聴けるようです。あまりない機会ですので気になった方は参加されてみてはいかがでしょう。

 2)NPO法人Fineでは、養子縁組等に関するアンケートを実施しています。もしよろしければ、ぜひご協力ください。「産みたい? 育てたい?」「実子以外の選択」についてのアンケート

 Hさんのところにやってきた赤ちゃんは、ちょっと泣き虫で、何ともかわいらしい女の子でした。その子もこの春、中学生になるそうで、先日、Hさんが入学用の制服姿の写真を送ってきてくれました。すらりと背が伸びて、すっかりかわいらしい女の子になっている娘さんを見て、ジーンと感動しました。時がたつのは本当に早いものです。「生意気ばっかり言うようになって、よくケンカしています(笑)」というコメントからも、Hさんの幸せがうかがわれ、ほっこりしました。

 昨今の幼児虐待のニュースは見るに堪えないものばかりで、私たちのように望んでも子供を得られなかったものは、心がキリキリと痛みます。不妊の仲間たちはこうしたニュースを見るたびに、なぜ我が家に来てくれなかったのだろうと、みんな口をそろえて言います。うちに来てくれれば大切に慈しみ育んだのに、と。

 予期せぬ妊娠や、どうしても実の親が育てられない事情の赤ちゃんもいます。近頃ではこうした子供を対象とした「赤ちゃん縁組」と呼ばれる取り組みも増えてきました。親の愛情を必要としている子供がいて、その子を愛して育てたい親がいるなら、よいご縁が結ばれたらと願わずにいられません。

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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