子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
食物アレルギー(5)代用食品多彩 情報活用を
このシリーズでは、国立病院機構相模原病院臨床研究センター副臨床研究センター長の海老沢元宏さん(58)に聞きます。(聞き手・矢沢寛茂)
即時型の食物アレルギーと子どもが診断されると、原因となる食べ物を取り除いたり、食べられる量を考えたりと、食生活に一定の負担が生じることになります。「また症状が出るかも」という強い不安感に襲われる親も多いでしょう。その結果、行き過ぎた対応をしてしまうことがあります。
ある男児は8か月の時、離乳食のパンやうどんでじんましんが出ました。小児科で血液検査をすると、鶏卵、鶏肉、小麦、牛乳、ピーナツなど10品目以上で反応がみられ、全て除去するよう指示されました。
男児はアトピー性皮膚炎も発症していたこともあり、母親は、何をどれだけ食べさせていいのか判断がつかなくなってしまいました。1歳5か月の時には、人工乳を除くと、ごはんとみそ汁、限られた野菜しか与えておらず、食物アレルギー専門の病院を受診しました。
男児は身長、体重とも平均をやや下回っていました。食事の内容から推測すると、カロリーやたんぱく質は必要な量の8~9割程度しか取れていませんでした。
まずは栄養士を交えて母親と話し、子どもの食事に対する恐怖心や不安を受け止めることを重視しました。
続いて具体的な食事指導に入りました。体をつくるたんぱく源として大切になる肉や魚を積極的に取ることや、米粉などの代用食品が多くあることを伝え、それらが一つ一つ症状が出ないのを確認することで安心してもらいました。
現在は、品目制限があっても、おいしく、バランスよく栄養を取れるメニューがたくさん考案されています。厚生労働省や「食物アレルギー研究会」など、信頼できる機関や団体からの情報を活用してください。
【略歴】
海老沢元宏(えびさわ・もとひろ)
小児科医、アレルギー専門医。東京慈恵医大卒。最新情報を発信する「食物アレルギー研究会」の世話人代表。
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。