医療大全
医療大全
川崎病のいま(4)発症気づかず半世紀
「川崎病と言われたことはありますか?」
長野県内の病院で、そう尋ねた医師に女性(59)はきっぱりと首を横に振った。
昨年10月、兵庫県在住の女性が、息子が住む長野県を訪れた時だった。観光中に神社の階段を駆け上がると、心臓がこれまでにないほどバクバクし、時間がたっても戻らない。夜に救急外来を受診する頃には、息が上がっていた。
検査の結果は「心室頻拍」だった。不整脈の一種で、心臓を規則正しく動かす電気信号に異常が生じ、突然脈が速くなる。CT(コンピューター断層撮影法)の画像を診た医師が、心臓の左冠動脈にこぶがあり、一部が石灰化していることを見つけた。川崎病の後遺症の典型的な所見だった。
女性が川崎病と診断されたことはない。記憶にあるのは、3歳の時に高熱が続いて入院し、感染によって重い臓器障害が起こる「敗血症」と診断されたこと。翌年、寝ている間に心臓の痛みを感じたことがあった。息苦しくなるので、子どもの頃から長く走るのが苦手だった。
「40~50歳代で急に心臓の異常で運ばれてきて、過去に川崎病の発症が疑われる例が増えてきた」と話すのは、女性がいま治療を受けている、国立循環器病研究センター(大阪府)で長く川崎病治療に携わってきた医師の津田悦子さんだ。
この記事は読者会員限定です。
読売新聞の購読者は、読者会員登録(無料)をしていただくと閲覧できます。
【関連記事】