Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」
医療・健康・介護のコラム
薬を飲んだら吐いてしまった! 胃や腸を荒らす成分に注意
早いもので、このコラムも4回目を迎えます。今回は、体から出ていく様々な「もの」を巡る話です。体調不良時によく飲まれる市販薬の影響を知っておきましょう。
下痢を繰り返して発熱 解熱鎮痛剤を飲んだら嘔吐
50代の男性。前日の夜遅くまで仕事をしたため、昼ごろまで寝ていました。そして、昼過ぎから水のような下痢を何度も繰り返すようになり、夕方までトイレにこもるような状況だったそうですが、夕方以降に下痢はペースダウンしました。
この間、水を少し飲みましたが、のどの渇きと体の強いだるさがありました。体温を測ったところ、37.8度と普段より高かったため、発熱でだるいのかもしれないと思い、市販の解熱鎮痛薬を飲みました。すると、しばらくして、今度は吐くようになりました。その後も吐き気と嘔吐の症状が続き、歩くのもつらくなり、救急車で病院に搬送されました。
この男性が飲んだ薬には、イブプロフェンが含まれていました。イブプロフェンは解熱鎮痛作用がありますが、胃や腸を荒らしてしまう副作用があるため、下痢など胃腸が関係する症状があるときには、できるだけ避けたい成分です。
下痢による脱水で体温上昇の可能性 水分摂取を検討すべき
男性は、体温計の高い数字を見て、解熱鎮痛薬を飲んでしまったそうですが、下痢がひどい場合、細菌やウイルスからの感染による腸炎のほか、脱水による体温上昇の可能性も考える必要があります。脱水による体温上昇なら水分補給だけで解熱することもありますので、薬の前にまず水分などの補給を考えたいところでした。
脱水症は体の水分が不足した状態のことです。症状で一般的なものは、のどの渇きやだるさです。脱水の程度が強くなってくると、ふらつきや立ちくらみ、頭痛、吐き気、嘔吐、汗が出なくなる、体温上昇(体温計で測ると38度以上の高熱ということもあります)などがみられるようになります。さらに重度になると、筋けいれん、意識障害、腎機能障害、血圧低下となり、最悪の場合、死に至ることもあります。
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熱が上がれば解熱剤は間違いではありませんが、間違いのこともあります。
薬局で簡単に買えるようになった今、解熱剤や鎮痛剤との付き合い方やその他の対策との兼ね合いも一般の方々に知られるべきです。
NSAIDsのライ症候群のリスクや肝腎毒性、胃炎のための胃薬の併用、一部抗菌薬との相性の悪さなど、簡単に手に入るようになっただけに、大事にしてほしいモノです。
また、薬物濃度により効能が変わるクスリと、一定濃度以上で効能があまり変わらない薬もあります。
軽微な症状で病院に行ってられない状況も想定されますが、その辺のさじ加減もよく知って、特に0-6時の深夜帯でのコンビニ受診を減らしてもらえればと思います。
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