心療眼科医・若倉雅登のひとりごと
医療・健康・介護のコラム
宇宙に行くと、視神経乳頭が腫れる
米宇宙企業が開発した有人型宇宙船「クルードラゴン」の無人打ち上げが今月成功し、この夏にも飛行士を乗せた打ち上げが検討されているそうです。民間人の宇宙旅行も現実味を帯びて報道されるようになっています。
そんな中、先日、神経眼科の勉強会で、「宇宙飛行に関連する神経眼症候群(SANS)」という言葉を聞いたので調べてみました。まだまだ謎の多い症状ですが、米航空宇宙局(NASA)のブランステッター医師の昨年4月の発表にたどり着きました。
宇宙飛行士が宇宙から帰還した時点で目に関する調査をすると、たとえば、両目の視神経乳頭(視神経の始まる部分)が腫れていたのは、検査した68人中10人、丸い眼球の一部が 扁平 化したり、脈絡膜(眼球の一番外側の膜と網膜の間にある膜)にしわが寄っていたのが53人中12人だったことが明らかになっています。他にも眼底に綿花様白斑(微小な毛細血管の途絶が原因)や出血点がみられた例もあったようです。
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