ごぼう先生のイス健康体操2.0
医療・健康・介護のコラム
シニアの体操で「大きい声を出して!」は言ってはダメ。ごぼう流三つの体操ポイント
介護の「ご」 予防の「ぼう」でごぼう先生と申します。
デイサービスのボランティアからスタートした体操は今年で10年目に入り、延べ2万5000名以上のシニアの前でイス体操を行ってまいりました。とあるニュース番組の特集では、介護界のきみまろ、というありがたいコメントをいただきました。
ごぼう流体操ポイント
体操を実演する前に三つのポイントを必ず説明しています。この説明がないと、私のパフォーマンスは成立いたしません。
1.全て座ったまま行う
何百人の70歳以上の皆様が集まる場所では、体力や精神状態、身体機能において様々な方がご参加されます。それでも、お手本と同じ動きを求めるのが体操です。「体」を「操る」と書いて体操と書きます。
私の体操は全てイスに座って行います。
そして、体操の内容は必ずアドリブで行います。
200種類ほどのイス体操からネタをチョイスして、環境や雰囲気に合わせた強度で行えるように、その場で決めています。年齢の幅、動きのキレ、言葉の反応、参加する意思などは、その日その場に行ってみないとわかりません。
台本は大まかに設定して、詳細はその場で決めた方が誰もが安心して体を動かすことができます。
2.正しく より 楽しく
体育の授業で行った体操を思い出してみてください。指先まで集中して、お手本通りに行うことが「体操」の正解として教育されてきました。
体操が苦手だった方は、体操をアレルギーに感じることもあり、介護サービスの現場では、「私はどうせ動けない」という声を聞くことがあります。
ごぼう先生の体操は、「正しく体を動かすことではなく、楽しく参加できることがゴールです」と、体操を行う前に、過去の体操の基準と異なることをお伝えします。
「正しさ、完璧こそが正義」のような風潮であったシニアの皆様の気持ちを、楽にする言葉です。
例えば、数字を数えて足踏みをしましょう!と体操をするときも「大きな声を出してください!」とは言いません。「声が小さくてもいいですよ」と伝えます。その方が、多くの方が参加できるからです。
大きな声を出せる方は、それ以上を求めなくても大丈夫。恥ずかしくて声を出せない方を意識することが大切です。誰もが参加しやすいように体操の難易度のハードルを低くすればよいのです。
いかに体操が苦手な方も巻き込めるのか。参加者が100名だとしたら、100名全員が体操に参加して、笑顔になっていただけるのかを意識して言葉を選んでいます。
すぐにできなくても脳は活性化されています!
3.できない方が効果的
ハードルを低くしたら、体を動かせる元気な方は満足できるのか。という心配を想像されるかもしれません。その答えは、至ってシンプルです。会場に来ている方、ほとんど全員が「できない体操」を行えばよいのです。そして、できない方が身体にとっては効果的ということを、体操前にお伝えします。
突然ですが、この記事を読みながらも試していただきたい動きがあります。
グー、チョキ、パーのじゃんけんの動きを、片方の手は速く、もう片方の手はゆっくり、同時に動かしてみてください。適当なタイミングで、左右入れ替えてみてください。
なかなかできませんよね。でも、できない方が脳は刺激されているのです。「一番効果がないのは、簡単にできてしまう、この私です」と、参加することが目的なんだということを念押しします。
できない方がいい。楽しむことが一番大切!
日本全国に伺って確信していることは、日本のシニアの皆様は集団だと「失敗を笑いに変える力」を持っているということです。これは人生経験が豊富だからこそ対応ができる、ぬくもりだと感じています。体操がコミュニケーションになるのです。
コラムのタイトルにあります、イス健康体操2.0のアップデート感が伝わりましたら幸いです。
それでは、皆様、お達者でー!
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