文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

iPS移植…阪大「角膜不足補える」、患者の会「冷静に見守る」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて角膜の病気を治療する大阪大の臨床研究計画が5日、厚生労働省の部会に認められた。提供者が不足する従来の角膜移植の課題を解決する治療法として期待される一方、患者や専門家からは、安全性や有効性の慎重な検証を求める声も上がっている。

 「多くの患者に届く治療への第一歩。心が引き締まる思い」。計画を指揮する阪大の西田幸二教授はこの日、東京都内で開いた記者会見で意気込みを語った。

 西田教授が今回の治療を目指した背景には、亡くなった人から提供される移植用の角膜が慢性的に不足している現状がある。厚労省によると、国内では角膜の病気全体で移植が必要な患者は年5000人以上ともされるが、角膜提供者(ドナー)は年900人前後にとどまる。

 さらに、移植では治りにくい病気も存在する。今回、臨床研究の対象とする角膜上皮幹細胞疲弊症もその一つで、移植しても拒絶反応が起こりやすく、治療効果は「1年間続けば理想」とも言われるほど限定的だ。

 西田教授は、iPS細胞の開発が報告された13年前、「医療を変える研究になる」と確信。すぐに京都大の山中伸弥教授の協力を得て研究を始めたという。

 会見では、iPS細胞を使った治療法の利点として、「角膜の不足分を補える意義がある」と強調。「従来の移植より拒絶反応が起きにくく、長期の治療効果が見込める」と述べた。

 一方、東京歯科大市川総合病院(千葉県)の「角膜移植患者の会」で会長を務める小西尚子さん(63)は「安全性を調べるには時間がかかるだろう。本当に拒絶反応が起こりにくいのかも含め、冷静に進展を見守りたい」と話す。

 金沢大の小林 あきら ・臨床准教授(眼科学)の話「角膜の病気に対する治療法を大きく変える可能性がある。治療効果がどれほどの期間続くかが今後の課題になる」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事