がん患者団体のリレー活動報告
コラム
NPO法人大阪がんええナビ制作委員会
がん情報の総合的なポータルサイト
私たち「NPO法人大阪がんええナビ制作委員会」は、患者・市民目線に立ったがん情報の総合的なポータルサイトである「大阪がんええナビ」を運営しています。がん患者らが納得できる医療・ケアを受けられることを目標に、大阪府下を中心としたがん情報の整理と提供システムの構築に取り組んでいます。

NPO法人大阪がんええナビ制作委員会が市立豊中病院(大阪府豊中市)に開設した「がん情報サイト体験コーナー」(2018年11月10日)
がん患者が治療や生活をしていく上で欠かすことのできないものは、自分に合った医療や患者支援、療養生活の情報です。ただ、インターネットが普及し、たくさんの情報があふれていますが、見る人にとって情報が利用しやすく整理されているとは言いきれない現状があります。信頼できる情報とできない情報が混在していることも、混乱を招く原因になっています。
がん患者が「時間」と「労力」と「お金」を無駄にせず、自身に適切な情報を早く得ていただくために、また患者でない方には、がんをよく知ってもらいたいという思いで、私たちはこのサイトを作りました。
ワンストップで調べられるのが好評
「大阪がんええナビ」は、「がんと診断されたら」「がん治療中に」「がん治療後に」と、時間軸に沿って閲覧者をナビゲートします。また、関心事項ごとにまとめた四つの大きなカテゴリーからも情報を探すことができます。
具体的には、「がんを知っておこう」では予防・検診・制度・保険など、「がんについて調べよう」では診断・治療・相談支援・臨床試験・病院など、「がんを考えよう」ではがん登録・対策・就労支援などについて解説しています。「がんについて聞こう」では識者のコラムを連載しています。
大阪府内すべての病院の医療機能を調べることができる「病床機能データ検索システム」や「がん関連ニュースヘッドライン」「各種イベントのご案内」などのオリジナルコンテンツも数多くあります。これらはいずれも、病院ごとやがん種ごとに散逸していた情報を手早くワンストップで調べられることから好評を得ており、月間アクセス数は現在、1万5000に達しています。
また、がん情報の提供はサイト上だけでなく、〈1〉時宜に合ったテーマを取り上げる公開講座シリーズの開催〈2〉ワイワイ楽しみながらのがん教育「がんカルタ大会」の開催〈3〉各種イベントでの「がん情報サイト体験コーナー」の設置――なども行っています。
患者・家族・医療者・一般の方々と直接顔を合わせ、ともに悩み、調べ、考えることで、サイトをさらに充実させるためのヒントをいただいております。また、何より皆さまの 忌憚 のない声が私たちのモチベーションにつながる貴重な機会となっています。今後も「大阪がんええナビ」は各方面のご意見、ご要望を取り入れて、「使いやすく役に立つ」と言っていただけるサイトに成長させたいと思っています。
NPO法人大阪がんええナビ制作委員会
2010年12月に設立。13年にNPO法人化。大阪肝臓友の会、NPO法人がんと共に生きる会、一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン、吹田ホスピス市民塾、NPO法人パンキャンジャパン、NPO法人ブーゲンビリアが参加。すべてのがん患者が納得できるがん医療・ケアの実現、がん死亡者の減少を目標に活動しています。
正力厚生会から助成を受け、17年には、大阪府内664施設を対象とした「病床機能データ検索システム」=写真=を作り、ホームページ「大阪がんええナビ」において公開しました。がん、脳卒中、心筋梗塞、分娩、精神医療への対応状況や手術の状況、リハビリテーションの実施状況、長期療養患者の受け入れ状況などについて調べることができます。
ホームページ 「大阪がんええナビ」( http://www.osaka-anavi.jp/ )
このコーナーでは、公益財団法人正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。