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はしか受診「お断り」…大阪の高槻赤十字病院、保健所の要請に応じず

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はしか受診「お断り」…大阪の高槻赤十字病院、保健所の要請に応じず

はしかの疑いがある患者の受け入れを制限していた高槻赤十字病院(大阪府高槻市で)

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受け入れ制限を伝える同病院のお知らせ(病院ホームページより、現在は削除)

 大阪府内で麻疹(はしか)の感染が拡大する中、高槻赤十字病院(大阪府高槻市、446床)が2月中旬から半月間、感染が疑われる患者の受け入れを制限していたことがわかった。その間、地元保健所は通常の診察を続けるよう求めたが、方針を変えなかった。国や専門家からは、総合病院の対応として疑問視する声も上がっている。

 高槻赤十字病院は、周辺の医療連携の要となる「地域医療支援病院」として府が承認。外来は紹介状の持参が原則で、かかりつけ医からの紹介患者を診る役目を負う。

 同病院によると、2月10日、はしか疑いの患者が来院し、12日に陽性と確定。これを受け、病院のホームページで15日以降、「疑いのある方の診察を当面の間お断りさせていただきます」などと通知した。

 主な対象は、かかりつけ医などからの紹介患者で、院内感染対策に一区切りついた今月3日まで受け入れ制限を実施。患者と接触した疑いのある来院者30人以上の健康状態を確認するなどの作業に追われたという。

 この頃、府内で患者が急増しており、高槻市保健所は2月18日以降、速やかに通常の診察に戻すよう要請。ところが、病院側は「診察スペースを確保できない」「はしかに対する免疫が十分でないスタッフもいる」などと応じなかった。保健所担当者は「他の総合病院は通常の診察を続けている。地域医療支援病院だけに、この対応では困る」と話す。

病院「院内感染の恐れ」

 医師法では、医師や病院は正当な理由がない限り、診療の求めに応じる義務がある。病院側は、事前連絡なしで来院した感染疑い患者3人を院外の災害救護車で診察したといい、「他の医療機関から患者紹介の相談はなく、大きな影響は与えていないと思う」と説明。「十分な環境が整わずに誠意や熱意だけで受け入れれば院内感染の恐れがある。専門家が取るべき対応ではない」と述べた。

 2009年の新型インフルエンザ流行時にも、一部の病院による受け入れ制限が問題になった。厚生労働省結核感染症課の担当者は「一般論として、はしかは総合病院なら通常の診察の範囲で対応できる病気。感染力は強いが、対応に特殊な機器や設備がいるわけではなく、工夫して診察してもらいたい」と指摘する。

 はしか患者から医師ら10人に感染が広がった「大阪府済生会茨木病院」(同府茨木市、315床)は、再発を防ぐため、はしか用の臨時診察室を地下に設置。病院職員にワクチンを接種し、出入りの清掃業者らにも接種への協力を求めた。立田浩院長は「診察の制限は考えていない」と話す。

 13人のはしか患者を診察した箕面市立病院(同府箕面市、317床)も、来院者約1300人に注意喚起の文書を送るなどして、通常の診察を続ける。担当者は「建物が古く、決して完璧とは言えないが、緊急的に態勢を整えた。はしかの診察と感染防御を何とか両立させてきた」と振り返る。

 感染症に詳しい東京都立駒込病院の今村顕史・感染症科部長の話「大変な時期だからこそ、地域の医療機関が負担を分け合う姿勢が大切。特に、総合病院には態勢を整えて受け入れてほしい。それが診療力の向上にもつながるはずだ」

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