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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

「父は認知症、母はがん」私の窮状を知り、泣きながら去った彼…介護と婚活(上)

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焦りと重圧に耐えかねて、全てを話したら…

 今、思い返すと、あの頃は周りの友人が次々と結婚し、子どもを授かっていくことに焦っていたところも正直あると思います。厳しい現実が目の前にあるからこそ、そこから逃避したくて「彼との結婚」を夢みていたのかもしれません。

 そんな自分勝手な焦りや、つらいことが次々に起こる日々にいっぱいいっぱいになり、ある時、彼に家族のことや自分の不安をぶちまけてしまったのです。

 当時、彼も20代。ご両親は若く健康で、周りに病気の人もいなかったようなので、私を取り巻く環境がそこまで大変なことになっているとは思っていなかったのでしょう。私が突き付けた現実は彼には重すぎて、「今の自分は、杏里を支える自信がない」と涙を流し、私の前から去っていきました。

 今、思い出しても胸がギューと苦しくなります。これまで私が両親の介護や看病をしてきた日々の中で最もツラかったことの一つでした。

心機一転、婚活に励んだけれど

 この出来事から立ち直るにはかなりの時間がかかりましたが、それでも懲りずに(?)「やっぱり家族を作りたいーーー」と一念発起して、私なりに婚活を頑張ってみることにしたというわけなのです。

 ところが、知人に「誰か、良い人がいたら紹介して~」とお願いしても、「うーん、でもご両親のことがあるし……」と直球で断られたり、出会いの場で知り合った誰かと良い感じになっても、なかなか家族の話はできなかったり、そもそも両親の介護や看病で会う時間が作れなかったり――。自分にも原因があったと思いますが、うまくいかないことばかりでした。

介護仲間の「成功体験」に希望と諦め

 そんな中で、ヤングケアラー(親などを介護する若者)仲間が結婚しました。どんな人と?どんな経緯で?ぜひとも詳しく知りたい!と、話を聞かせてもらいました。

 お相手はすでにご両親を亡くしていて、「自分には親がいないから、家族を作りたいし、君の家族を大切にしたい」と、とてもドラマチックなプロポーズを受けたというではありませんか! 「え~、そんな人もいるんだ」という小さな希望と、「いやいや、私にはそんな奇跡は起きないなー」と、大きな諦めが交錯して、何だかとってもアンビバレントな気持ちになりました。

 そんな私に、彼女は「家族の介護のことは、特に隠さなかったよ」とアドバイスをくれたのですが、家族の話をしたために大好きな彼を失ったトラウマは、そう簡単に乗り越えられるものではありません。「やっぱり結婚は無理かもしれない。両親を支えながら、今は仕事を頑張ろう……」と、とぼとぼと家路についたのでした。

 こうして期待と挫折を繰り返した、私の「婚活大作戦」。その結末は……次回に続きます! (岡崎杏里 ライター)

登場人物紹介はこちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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