文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr.イワケンの「感染症のリアル」

医療・健康・介護のコラム

命は奪わないけれどつらい、赤いブツブツ 帯状疱疹は予防の時代

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

免疫が弱るとウイルスが暴れ出し、つらい痛み

 ところが、です。糖尿病などの免疫が弱る病気になったり、年齢を重ねたり、あるいは単に疲労が重なったりしただけでも、VZVは体内で暴れだし、感覚神経を伝って皮膚に飛び出し、そして赤いブツブツを作ります。これが感覚神経に作用しているだけに痛いのです。実に痛い。つらい。そして、帯状疱疹が治ってからも、慢性の神経痛として残ることもしばしばあるのです。こいつも、そうとう痛い。辛い。なかなか治らない。死なないけど、いやらしい病気。それが帯状疱疹とその後の神経痛です。

皮膚科以外では見逃されてしまことも

 帯状疱疹は、皮膚のブツブツの出方が非常に特徴的なので、まあ、ぶっちゃけ「見ればわかる」病気です。ウイルス検査のような特別な検査も通常は必要ありません。が、この病気を知らない医者も案外いて、その場合は見逃されてしまいます。とくに、皮膚にブツブツが出ないで「痛いだけ」の帯状疱疹は問題です。これも、注意深く診察すれば診断は難しくないのですが、知らないと見逃してしまいます。皮膚科医の先生が帯状疱疹を見逃すことはまずありませんが、ブツブツが出ないと皮膚科以外の医者のところに行くでしょう。「胸が痛い? 心臓の病気かな? 心電図正常だったよ。肺の病気かな? レントゲン正常だったよ。検査問題ないので、大丈夫」と帰されてしまったりします。

発症したら早めに抗ウイルス薬 新しいワクチンも登場

id=20190301-027-OYTEI50001,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 帯状疱疹には幸い、効果的な抗ウイルス薬があるので、これを飲めば割とすっきりとよくなります。が、発症初期に治療しないと前述の神経痛が起きやすくなるのです。医者が見逃すと困る病気、帯状疱疹。注意が必要です。

 水痘ワクチンだけでなく、帯状疱疹のワクチンもあります。帯状疱疹を発症しやすい50歳以上の方におすすめです。ただし、定期接種ではないのでお金はかかります。

 あと、このワクチンは「生ワクチン」といって、免疫抑制が強い人には打てないワクチンでした(加齢だけなら、問題ありません)。ワクチンそのもので病気になってしまう可能性があるからです。免疫が弱るから帯状疱疹になるので、免疫が弱った人にワクチンが打てないじゃあ、ジレンマじゃん。その通り、ここはワクチンの本質的なジレンマです。

 ところが、近年、免疫抑制があっても接種できる帯状疱疹のサブユニットワクチンが日本でも承認されました。これなら、免疫抑制があっても大丈夫。死なないけど、しんどい帯状疱疹。ぜひ、積極的に予防しましょう!(岩田健太郎 感染症内科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

iwaken_500

岩田健太郎(いわた・けんたろう)

神戸大学教授

1971年島根県生まれ。島根医科大学卒業。内科、感染症、漢方など国内外の専門医資格を持つ。ロンドン大学修士(感染症学)、博士(医学)。沖縄県立中部病院、ニューヨーク市セントルークス・ルーズベルト病院、同市ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院(千葉県)を経て、2008年から現職。一般向け著書に「医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法」(中外医学社)「感染症医が教える性の話」(ちくまプリマー新書)「ワクチンは怖くない」(光文社)「99.9%が誤用の抗生物質」(光文社新書)「食べ物のことはからだに訊け!」(ちくま新書)など。日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパートでもある。

Dr.イワケンの「感染症のリアル」の一覧を見る

2件 のコメント

コメントを書く

潜伏感染の前始末と後始末とAIの活用

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

ウイルスや細菌の致死性って、何処がキーなんでしょうね? トリガーやバリアーの素因は今後も研究が進むでしょう。 学生時代には本文にある程度の知識も...

ウイルスや細菌の致死性って、何処がキーなんでしょうね?
トリガーやバリアーの素因は今後も研究が進むでしょう。

学生時代には本文にある程度の知識もアタマに有ったか怪しいものですが、画像診断を切り口に様々な勉強会でまれな疾患や斬新な考え方に触れると同じ知識や文章も違って見えます。

脳の画像診断の研究会ではしばしばVZV脳炎も出てきます。
検索をかけると、成人では極めてまれだが予後不良とあります。

潜伏感染はなかなかやっかいで、カンファレンスにかかるようなものは、患者さんが他にも様々な問題を抱えていることが多く、一般的ではないですが、皮疹や感染歴も含めて、効率的に処理できる診断プロトコルができていくといいですね。

進化するAIの力を借りるためという部分もありますが、細分化された臓器別専門科や症状別、遺伝子別などの領域を統合して運用するにあたって、一握りの天才に依存するようなシステムは良くないと思うからです。
(たとえ、どこかの天才がそのシステムを爆発的に前進させるとしても。)

そして、感染の被害はだいたい、ウイルスや細菌の量に依存する傾向があるので、早期に治療介入できるほどに予後良好ですからね。

つづきを読む

違反報告

やはり専門医

niyankomam

皮膚の事は皮膚科って大事ですね 何度も繰り返し出てくるヘルペスに炎症と思い軟膏塗ってましたがあまりの痛みと治っては繰り返すので内科医の勧めで皮膚...

皮膚の事は皮膚科って大事ですね
何度も繰り返し出てくるヘルペスに炎症と思い軟膏塗ってましたがあまりの痛みと治っては繰り返すので内科医の勧めで皮膚科受診
ヘルペスと言われ坑ウイルスの軟膏ですぐ治りました
でも免疫抑制剤服用してるし免疫が落ちるとまた発症を繰り返してます
飲み薬とかで発症を抑えられるのなら楽ですね

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事