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医療ルネサンス神奈川フォーラム「健康寿命を延ばす」

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[医療ルネサンス神奈川フォーラム「健康寿命を延ばす」](上)生活改善は自分次第

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 「健康寿命を延ばす」をテーマにした「医療ルネサンス 神奈川フォーラム」が1月25日、横浜市西区の神奈川県立青少年センターで開かれた。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授が「衰えない人の生活習慣―フレイル防止への3つの心得―」と題して基調講演。その後、横浜相原病院の吉田勝明院長を交えて対談し、心身ともに健康に過ごすための方策などを話し合った。約380人が詰めかけ、熱心に耳を傾けた。
 (コーディネーター 読売新聞東京本社医療部長・館林牧子)

 主催・読売新聞社
 後援・神奈川県、横浜市、神奈川県医師会

「虚弱」から「健康」に戻ろう…東京大学高齢社会総合研究機構教授 飯島勝矢さん

[医療ルネサンス神奈川フォーラム「健康寿命を延ばす」](上)生活改善は自分次第

 フレイルという言葉を知っていますか。初めて聞いたという人が6~7割いますね。「虚弱」という意味で、日本老年医学会が2014年に提唱しました。健康と要介護の中間地点という概念で、元の状態に戻ることができることが特徴です。頑張れば様々な機能を「健康」に戻せる。ただし、限界がありますから、早く気付いて早く腰を上げる方がいいんです。

 もう一つの特徴は多面的。身体的フレイルは体の衰えで、膝や肩や腰が痛いなどと訴えます。これはサルコペニア(筋肉減少)という状態です。フレイルチェックは、サルコペニアのリスクを測るものです。

 身体的フレイルは心理的フレイル、社会的フレイルと影響しあいます。運動はした方がいいけれど、ウォーキングなら、誰と歩くのか、歩いた後に何が待っているのかの方が影響が大きい。黙々とジョギングや散歩をするより、仲間と囲碁や将棋に打ち込み、食事をする方がいい。

 私は全国でフレイルチェックをしています。地域の元気なシニアが養成研修を受けてサポーターに認定され、黄緑色のユニホーム姿で高齢者のフレイルチェックを担当します。

 滑舌チェックでは、「タ」や「カ」などの言葉を5秒間で30回発声してもらいます。滑舌の遅い人は全身の筋肉量が少なく、同時に えん 機能(飲み込む機能)に支障をきたします。単に口だけの問題ではないのです。

 明日から歩こうと呼び掛けるだけでは、歩かない人は歩きません。一歩踏み出してもらうには、楽しさと共に、科学的根拠に裏付けられた驚きや気付きがないと、説得できません。

 フレイルチェックの最初に「指輪っかテスト」をしてください。その後、栄養、運動、社会性などに関する11項目をチェックしてください。

栄養・運動・社会性が大切

指輪っかテスト

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 ふくらはぎの筋肉量を測ります。両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎを囲みます。全国どこで計測しても、「届かない」が5~6割、「ちょうど囲める」が3~4割、「隙間ができる」が1割弱という比率になります。「隙間ができる」人は、ほかの2グループより、将来サルコペニアになる割合、要介護状態になる割合が何倍も高くなります。

 40~50歳代はメタボ予防で「体重を減らせ」と言われている人が多い。70~80歳代は、痩せると筋肉がなくなり、免疫力も落ちます。フレイル予防のためにたんぱく質を中心にカロリーをしっかり取ろうという考え方に変えていきましょう。

イレブン・チェック

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 〈2〉は筋肉の基となるたんぱく質を取っているかをききました。「どれくらい食べるか」が重要です。高齢になると、たんぱく質の吸収効率も落ちるので、「毎日2回以上」食べていても、吸収される栄養は思ったより少ないかもしれません。

 〈3〉は しゃく できているか。舌でつぶせる軟らかいものばかり食べていると、 む筋肉が鍛えられず、将来は、もっと噛めなくなるのです。

 〈5〉~〈7〉は運動習慣。〈7〉の歩く速度は、サルコペニアで筋肉が衰えると、てきめんに遅くなります。歩くのが速いと感じるグループと遅いと感じるグループを比べると、握力や 口腔こうくう 機能などが明らかに違います。

 〈8〉〈9〉は社会性の質問。自立している高齢者5万人のデータでは、運動習慣だけの人は、運動習慣はないが文化活動や地域活動をしている人よりフレイルリスクが3倍高かった。文化活動や地域活動をする人は、地域に出て歩きます。人とのつながりはフレイル予防になるのです。

 栄養、運動、社会性がフレイル予防の心得です。

  ◇いいじま・かつや  千葉県出身。東京慈恵医大学卒。千葉大学循環器内科、米国スタンフォード大学を経て2016年から現職。内閣府「1億総活躍国民会議」の有識者民間議員も務める。53歳。

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