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フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」

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[フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」](中)がん治療 確実に進歩

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患者、医師、行政担当者 病気との向き合い方 語り合う

  田辺(たなべ)(みのる) さん 東京医科歯科大学肝胆 (すい) 外科教授
 慶応大学医学部卒。同大専任講師、准教授などを経て、2013年から現職。17年からは東京医科歯科大学病院副病院長を兼任する。難治性がんである肝臓、胆道、すい臓がんの治療に力を注ぐ。

  丸山(まるやま)(さとし) さん 厚生労働省健康局がん対策推進官
 東京大学医学部卒。国立国際医療研究センターなどを経て、2009年、厚労省入省。診療報酬、自衛隊の国際医療協力などを担当し、米スタンフォード大学に留学。18年9月から現職。

  横山(よこやま)光恒(みつのぶ) さん 日本対がん協会がんサバイバー・クラブマネジャー
 岐阜県出身。2005年、36歳で悪性腫瘍「ユーイング肉腫」の告知を受ける。右腕の切断を提案されたが、抗がん剤や放射線治療で腫瘍が縮小し、温存手術を選択した。17年から現職。

  賢見(けんみ)卓也(たくや) さん NPO法人がんと暮らしを考える会理事長、看護師
 1999年兵庫県立看護大学を卒業後、都内の大学病院に勤務。2008年に日本大学大学院で経営学修士号(MBA)を取得。訪問看護の傍ら、病院でがん患者の相談会を行っている。

  (のぶ)浩子(ひろこ) さん 小児科医
 久留米大学医学部卒。小児がん治療や治療後の生活支援にも取り組んできた。2014年、小児がん経験者で大腸がんを発症した延哲也さんと結婚。16年に自宅で看取った。現在、佐賀県医療センター好生館(佐賀市)に勤務。

  白水(しろうず)千穂(ちほ) さん NPO法人 キャンサーリボンズサバイバーボードメンバー
 2015年秋、激しい腹痛で緊急入院。ステージ4の虫垂がんと診断され、外資系メーカーを退職。今春から新しい職場で働きながら、抗がん剤治療を続ける予定。

 ◇コーディネーター  町永(まちなが)俊雄(としお) さん 福祉ジャーナリスト
 1971年にNHK入局。福祉番組のキャスターを経て、2011年から現職。

免疫療法、遺伝子医療に注目

[フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」](中)がん治療 確実に進歩

田辺稔さん

  町永  がんの医療は大きく進歩していますね。

  田辺  この10~20年で手術方法も薬も大きく進歩しました。さらに、いろいろな治療法をどう組み合わせるか、心のケアを含めてチーム医療が発達し、患者へのインフォームド・コンセント(説明と同意)が普及しました。

  町永  がん患者の課題について、国としてどう捉えていますか。

  丸山  生涯で2人に1人ががんになる一方、治療や診断技術の進展によって、がんで亡くなるのではなく、(がんと)付き合っていく時代に変わってきました。がんになっても長い時間を生きていくことになるため、患者一人ひとりに応じたサポートが必要になっています。

  町永  「がんと生きる」は、社会全体の課題なんですね。がん治療にはどんなものがありますか。

  田辺  手術、放射線治療、抗がん剤治療という三つの柱があります。この三つをどう組み合わせていくかが重要です。

  町永  最近は、免疫本来の力を回復させる「免疫療法」が注目されています。

  田辺  大きな可能性があると思いますが、これで、がんが全て治るわけではないことをきちんと理解してほしいですね。

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丸山慧さん

  町永  ここ10年で進歩したのは、どんな手術法ですか。

  田辺  腹部に数か所の小さな穴を開け、カメラや切除器具を入れる 腹腔ふくくう 鏡手術ですね。開腹手術と比べて傷口が小さく、手術後の回復が圧倒的に早い。ロボットによる手術も登場しました。手と同じ動きが機械の先端で再現できます。

  町永  遺伝子医療も大変注目されています。これまでの医療のあり方を変えるのではないかと期待されています。

  丸山  がんの原因遺伝子を調べて効果的な薬を選ぶがんゲノム医療は欧米先進国も始めており、日本でも力を入れています。がんは細胞の中にある遺伝子が異常になるところから始まる病気です。この遺伝情報を患者の同意の下に一括で集めて研究し、新たな治療法の開発に結びつけたいと考えています。今までは、肺がんにはこの治療と臓器別で選ばれていたものが、この遺伝子に異常があるからこの治療というようになっていくと思います。

  田辺  現在、がんに関連した遺伝子異常を一度に調べる検査には公的な医療保険が利かないため、多くの場合、数十万円もの費用がかかります。国には患者にこうした経済的な負担がないようなシステムをぜひ作ってほしいですね。

抗がん剤 体調に応じ減薬を

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横山光恒さん

  町永  つらいのが、抗がん剤治療の副作用です。

  田辺  抗がん剤は身を削り、がんと闘う治療です。副作用には頭髪の脱毛をはじめ、口内炎、皮膚炎、白血球の減少、吐き気など様々なものがあります。抗がん剤は決められた量を何が何でも飲まないといけないと思ってしまうと、とんでもない副作用に発展することがあります。自分が感じるつらさがどの程度なのか、担当医とよく話すことが重要です。体が先にダメになってしまう前に薬を減らしたり、一時的に中断したりして、マラソンのように長く走り続けることを意識してほしいですね。

  町永  横山さんは大変でしたか。

  横山  治療中は吐き気、脱毛、手足のしびれなどの副作用が出て、退院してしばらくしたら、腕がすごく痛くなりました。

  早期から 緩和ケア

  町永  副作用とどう向き合うか。緩和ケアが求められています。

  田辺  緩和ケアは少し前までは、終末期の患者が最後に受けるイメージでした。今は早い時期から、いろんな部分をケアしていく流れになっています。肉体的な苦痛を和らげられないと、がんに立ち向かっていけません。精神的なケアも重要です。

  町永  白水さんも副作用を経験したと思いますが、緩和ケアは意識しましたか。

  白水  がんと診断されると体調面でなく、気持ちの面で落ち込む人が多いと聞いていました。だからできるだけ緩和ケアをしてもらうように心がけていました。

  町永  ここまでの議論をまとめてください。

  田辺  がんは怖い病気ですが、諦めずに治療を受ければ、複数の治療を受けた後に治るかもしれないし、何年も元気でいられる可能性も十分にあります。だから、「がんと生きる」というのは、家族も含めて、非常に重要だと思います。

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