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フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」

イベント・フォーラム

[フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」](上)西洋医学と漢方医学 融合

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 がんとの向き合い方や医療情報を紹介するフォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」が1月19日、東京都文京区の文京シビックホールで開かれ、約1200人が参加した。患者への負担が少ない手術法や、がん細胞がかけたブレーキを外して免疫細胞の攻撃力を高める薬の登場など、がん治療は確実に進歩している。一方で、仕事と治療の両立や抗がん剤の副作用などに悩まされている患者は少なくない。がん患者や医師、医療政策を担う行政担当者らが、今後の課題などについて話し合った。

 【主催】読売新聞社、NHK厚生文化事業団、NHKエンタープライズ
 【後援】NHK、厚生労働省、東京都、文京区、東京都社会福祉協議会、文京区社会福祉協議会、東京都医師会、同歯科医師会、同薬剤師会、同看護協会
 【協賛】ツムラ
 【協力】東京都社会保険労務士会

西洋医学と漢方医学 融合…国際医療福祉大学副理事長・名誉学長 北島政樹さん

[フォーラム「がんと生きる~こころとからだ 私らしく~」](上)西洋医学と漢方医学 融合

 ◇基調講演

 慶応義塾の創立者・福沢諭吉の「未来のための今」という言葉が原点となり、未来を見据えた医学にチャレンジしてきました。

 現在、外科手術におけるキーワードは、患者の体にやさしい「低侵襲」と、一人ひとりに合った「個別化」です。低侵襲の例を挙げれば、最近の手術は多くが内視鏡手術で行われるようになっています。傷がほとんどなく、痛みが少ない利点があります。

 こうした西洋医学と、漢方を中心とした東洋医学の融合にも臨床経験を踏まえて取り組んできました。日本医師会長を長く務めた武見太郎氏は「日本は医薬品の7割を輸入に頼っている」とし、日本独自の医薬品を世界に発信することを力説していました。

 現在、日本では81大学で漢方の医学教育を行っています。78大学には漢方外来があり、漢方が医学教育に浸透していると言っても過言ではありません。

 なぜ漢方が効くのか。慶応大学の外科学教授の時代、大腸がんで手術した患者を「 大建中湯だいけんちゅうとう 」という漢方薬を投与したグループと、投与しなかったグループとに分けて比較試験をしました。漢方薬を投与して腸管の動きが良くなったグループは、在院日数が短く、医療経済的にも優れていることがわかりました。

 漢方のエビデンス(科学的な根拠)は着々と集まっています。抗がん剤を使った後の口内炎には「 半夏瀉心湯はんげしゃしんとう 」、手術後に食欲がない場合は「 六君子湯りっくんしとう 」がよく投与されています。

 西洋医学と漢方医学はターゲットに違いがあります。西洋医学では、抗がん剤は、がんを直接たたくことができますが、その副作用によって患者の生命力が落ちてしまいます。そこで漢方によって生命力を高めるわけです。食欲が出たり、眠れるようになったりと、患者のQOL(生活の質)を上げる効果が期待でき、両方を融合させることが重要になります。

 今はチーム医療も大事になっています。看護師や理学療法士、栄養士ら多職種の人たちがチームをつくり、発病から診断、手術、回復、あるいは緩和、治癒というそれぞれのステージに合わせた医療を行う必要があります。

 より良い医療を構築するために、西洋医学と漢方医学が融合できるのは日本だけです。我が国の医療として世界に発信していくことが重要です。

 北島(きたじま)政樹(まさき) さん 国際医療福祉大学副理事長・名誉学長。慶応大学医学部卒。同大病院長、同大医学部長、第100回日本外科学会長、第42回万国外科学会長、日本 がん 治療学会理事長、日本内視鏡外科学会理事長、医学雑誌「The New England Journal of Medicine」編集委員、国際医療福祉大学学長などを歴任。2016年から現職。

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