文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

医大生、ムエタイ世界王座に挑む…外科医目指す二刀流「亡き父にベルトを」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
医大生、ムエタイ世界王座に挑む…外科医目指す二刀流「亡き父にベルトを」

医大生との二刀流でムエタイの世界王者を目指す岡田さん(16日、大分県別府市で)=山本光慶撮影

 大分市の医大生が24日、大分県別府市で行われるタイの格闘技「ムエタイ」の世界王座決定戦に挑む。大分大医学部3年で、世界プロムエタイ連盟・日本ウエルター級王者の岡田将人さん(26)。外科医を目指す“二刀流”は、亡き父に世界のベルトを届けると誓った。

 16日夜、別府市のジム「BRAVELY GYM」に、ミットをたたく音が響いた。「連続で、連続で」。トレーナーの声に応じ、岡田さんがパンチやキックを繰り出す。ジムの伴政和代表(35)は「順調に仕上がっている」と目を細めた。

 外科医だった父・秀司さんの存在が、二刀流の道を歩む原点となった。小学時代、格闘技好きだった父と一緒に、「K―1」のテレビ中継に熱狂した。タイ人のブアカーオ選手に憧れた。

 県内有数の進学校、大分上野丘高ではラグビー部に所属。3年生で進路を考えた時に思い出したのが、中学1年の時、48歳の若さで病死した父がいつも口にしていた言葉だった。「自分のやりたいことをしっかりとやりなさい」。幼い頃の夢でもあった格闘家への思いが膨らみ、大学進学をやめた。

 高校卒業後は飲食店のアルバイトを掛け持ちし、貯めた約200万円を手に、20歳でムエタイの本場・タイに渡った。現地の小さなジムで練習を積み、1か月後にプロデビューしたが、タイ語は話せず、ジムでは孤独感を味わった。戦績は3勝5敗。実力差が大きく、あばら骨を折る大けがもした。本場の壁にはね返され、帰国を決めた。

 失意の岡田さんに道を示したのも、父の存在だった。「父のような医師になろう」と受験勉強を始め、23歳で大分大医学部に合格。「不完全燃焼だった」という思いを抱えていた格闘家への夢も再び膨らんだ。

 入学直後にジムに入門。講義前に5~10キロを走り、夕方からはジムで汗を流した。帰宅後は深夜の2時間を勉強にあてた。「中途半端で終わりたくない。医師と格闘家、二つの夢に突き進みたい」と腹を決めた。

 国内でプロデビューした2016年からの戦績は5勝3敗。昨年6月、日本ウエルター級の王者決定戦でTKO勝ちし、念願のベルトを巻いた。父の仏前にベルトを置き、遺影に「やりたいことを、ちゃんとやれたよ」と語りかけた。

 世界王座決定戦は、タイ人選手と対戦する。普段は74キロの体重を8キロ近く減量中。試合直前には大学の試験も控える。岡田さんは「父も応援してくれていると思う。今度は世界のベルトを父の仏前に飾りたい」と誓った。

 世界王座決定戦は24日午後、別府市の別府ビーコンプラザで行われる。

 

ボクシングで「二刀流」活躍…公務員や商社マン

 

 プロボクシングでは、「二刀流」の選手が活躍している。

 埼玉県 新座にいざ 市職員の渡辺宏さん(37)は、2014年から「新座宏」の名前でリングに立つ。昨年7月には日本バンタム級15位の選手にTKO勝ちした。

 世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級元王者の木村悠さん(35)は、「商社マンボクサー」として注目された。木村さんは「残業もあり、練習時間を確保するのが難しかった。ただ、メリハリのある生活を送ることで二刀流ができた」と振り返る。世界戦に挑む岡田さんには、「自分の信じる道を進んでほしい」とエールを送った。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事