Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」
医療・健康・介護のコラム
インフルと花粉症が重なり、咳止めと鼻炎薬を併用したら胸がドキドキ
インフルエンザに続いて、花粉症のシーズンに突入です。今回のケースは、インフルエンザと花粉症の両方に関連した市販薬トラブルです。
20代の男性。2月にインフルエンザにかかり、高熱が続くつらい時期は乗り越えましたが、その後も 咳 が続くため、市販の咳止めを服用していました。
もともと花粉症にもなりやすく、スギ花粉の飛び散るシーズンを迎え、早朝に少し鼻水やくしゃみも出るようになったため、市販の鼻炎薬を追加することにしました(この時、咳止めと鼻炎薬は全く別物と思いこんでいました)。コーヒー店でサンドイッチとコーヒーの朝食をとった後、咳止めと鼻炎薬を服用したところ、突然、胸がドキドキするようになり( 動悸 )、近くの診療所を受診しました。
いずれも合剤で、動悸の原因成分が複数 併用は避けるべき
市販薬には、成分が一つの単剤と、二つ以上の成分を配合する合剤の2種類があります。このケースでの咳止めと鼻炎薬は、いずれも合剤の製品でした。そして、服用した咳止めと鼻炎薬には、動悸の原因になる成分が複数入っており、まったく同じ成分も含まれていました。その結果、心臓の拍動が速くなり、動悸の症状が出てしまい、つらい思いをしたというわけです。具体的に成分を見てみましょう。
カフェイン→コーヒー、咳止め、鼻炎薬の三つから摂取
エフェドリン類※→咳止めと鼻炎薬の二つから摂取
クロルフェニラミンマレイン酸塩→咳止めと鼻炎薬の二つから摂取
ベラドンナ総アルカロイド→鼻炎薬から摂取
※エフェドリン類=プソイドエフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩
この4成分は自律神経を介して心臓の拍動を速めますので、動悸の原因になることがあります。正常の脈が単に速くなることもあれば、不整脈を誘発することもあるため、本ケースのような過剰服薬は絶対に避けなければなりませんでした。
添付文書にも併用への注意書きあり
服用前に市販薬の添付文書を読めば、一緒に飲むといけないことに気づくパターンでもありました(添付文書の「してはいけないこと」の欄に書かれています)。また、最近では、花粉症に効果的な市販薬製品も充実してきていますので、市販薬を購入する際、服用中の咳止めを伝え、鼻炎薬のアドバイスを受けておけば、副作用を避けることができたケースでもありました。
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