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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

yomiDr.記事アーカイブ

オススメです!介護に育児に「まっ、いいか!」

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認知症の人には「違う法律」がある!?

 認知症のお母さんを介護している知人が、「母は違う世界の法律で生きている。それを知り、認めてあげたら介護が楽になった」というようなことをおっしゃっていました。認知症が進んでいくと、まるで法律が変わったかのように、世間の常識から、その人独自のルールの中で生きるようになるのかもしれません。

 そういった認知症の人の世界をわかっていないと、いつまでもイライラしてドッカーンとなり、認知症の人も介護する人もストレスまみれの生活になってしまいます。

 私も認知症に関する本を読んだり、ヘルパーの講座を受講してわかったつもりでいても、自分の家族の介護となると難しいのが正直なところ。でも、この知人のように、みんなそういった壁にぶつかりながらも自分たちなりの方法で受け入れていることを知り、私もいろいろ考えてみました。

「死ぬわけでなし」と広い心で

 そして、私が編み出した(?)受け入れ方法は、「まっ、いいか!」と声に出して言うこと。人はイライラしたときにひと呼吸置くと、少し冷静になれるといいますが、この「まっ、いいか!」が、ちょうど空気を吸って吐く感じになり、「手袋でお菓子を食べたからって、死ぬわけでもないし、誰にも迷惑は掛からない」と、広い心で捉えられるようになってきました(3回に1回くらいですが……)。

 こんなふうに、父さんがしつけとして幼い頃から私に言っていたようなことができていないとき、ケガにつながったり、人に迷惑を掛けるなどの大きな実害はないにもかかわらず、「なんで私に教えた人ができないわけ?」と、イライラしてしまいがちです。そんなときこそ、気持ちを切り替えるために「まっ、いいか!」と言ってみるのです。

いろんな場面で応用

 父さんの介護により身についた(?)「まっ、いいか!」対応を、私は無意識のうちに育児でもしていることに、先日、気付きました。

 息子のたー君が眠くなって「夕ご飯を食べたくない」とぐずりだし、「夜中におなかがすいたらどうするの?」「さっさと食べてくれないといつまでも片付かないんだけど」と、イライラしそうになったときに「まっ、いっか!」と言っていたのです。そして「そんなに眠いなら、一食ぐらい抜いても、大丈夫かもね。夜中に起きたときのためにおにぎりでも作っておくか!」とイライラを撃退できたのです。

 育児もまた、常識や自分の価値観に捕らわれて、「こうでなくては」と、思い込んでしまうことが多々あります。「まっ、いいか!」が役立つ場面、結構たくさんありそうです。

 もちろんすべての人に有効とは限りませんが、試してみる価値アリです。介護や育児、もちろんそれ以外でも、イライラしてドッカーンとなる前に「まっ、いいか!」と言ってみませんか?(岡崎杏里 ライター)

登場人物の紹介はこちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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