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心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

コラム

視覚系も加齢変化する 治らないのは医者が悪い!?

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視覚系も加齢変化する 治らないのは医者が悪い!?

  前回 、視覚系も加齢変化するのは当然だが、なかなかそれを受け入れられず、そのことばかりにこだわって、人生の貴重な時間を無駄にしてしまっているように見える人がいることを述べました。慢性の病気がある例でも、同様な経験をします。

 そういう方々には、一定の性癖があるような気がするとして、次の4点を列挙しました。

1)完全主義の人、自分の不調を許せない人
2)人よりも上と自負できる技術、技能、能力を発揮していた人
3)人と比べることが習慣になってしまっている人
4)医学は万能(またはそれに近い)と思っている人

 一つ一つ、解説してみたいと思います。

 1)は何につけてもやり遂げる、成果を上げるということがその方の生き方にとって最重要課題な方です。それは自分の心身の状態にも適応されていて、少しの不調が許せないタイプです。もちろんこれは、よい面も大いにあるのですが、ある意味では一人の人間だけでは太刀打ちしようのない自然の猛威と格闘しているようなものです。病気や加齢変化と共存しながらの人生に、そのエネルギーを使う気持ちになれたら穏やかなのにと、思う次第です。

 2)やはり、完全主義の方々は努力を惜しまず走り続けており、それゆえ技術、技能、能力に () けていて、社会や組織の中でも重要な地位を占めてきた方が多いと思います。そこに加齢や病気による不都合、ことに持久力の低下が生じると落差が大きいのです。

 3)は2)の続きのようなものですが、上を目指して生きてきた方が多いので、周囲の人や競争相手と比較する習慣がいつのまにかできてしまうようです。だから、あの人は元気なのに、この人は走り続けているのにと比較することが、妬み心を発生させ、自身の評価を不当に下げてしまいがちです。

 4)は一番問題にしたい事項です。不調の解決のために、まず医療機関を訪れるのは当然のことでしょう。しかし、加齢による自然の変化であり、病気として扱う必要はない(あるいはすでに病気と診断されている方では適切な治療や管理が行われていて、それ以上の治療を追加することはない)と判断されても、どうしても納得できない方々がいます。

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201505_第4回「読売医療サロン」_若倉

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年東京生まれ。北里大学医学研究科博士課程修了。グラスゴー大学シニア研究員、北里大学助教授、井上眼科病院副院長を経て、2002年から同病院院長。12年4月から現職。日本神経眼科学会理事長、東京大学医学部非常勤講師、北里大学医学部客員教授などを歴任し、15年4月にNPO法人「目と心の健康相談室」を立ち上げ副理事長に就任。「医者で苦労する人、しない人---心療眼科医が本音で伝える患者学」、「絶望からはじまる患者力」(以上春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社)、医療小説「茅花流しの診療所」(青志社)など著書多数。専門は、神経眼科、心療眼科。予約数を制限して1人あたりの診療時間を確保する特別外来を週前半に担当し、週後半には講演・著作活動のほか、NPO法人、患者会などでのボランティア活動に取り組む。

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